美学生インタビューInterview
活動を始めてわかった“競う”ことの大変さ
ファイナリストに選ばれた時はどんな気持ちでしたか?
嬉しかったんですけど言っちゃダメだったんですよ、お披露目の日までは。新しいことに挑戦したかったというか、せっかく4年しかない大学生活なのに振り返った時に学生だからこそできることに取り組んでなかったなと思ってエントリーしたんですが、でもだんだん、公開されたら自分の友達はどんな反応をするんやろうとか、ミスキャンとかそんなキャラじゃないって言われるんじゃないかとか、嬉しさと心配が半分半分でした。
100%嬉しさ、ではなかったんですね。では、活動を始めて感じたことは?
実はその頃はファイナリストがどんなことをするのかあまり知らなくて。学生の身内のイベントくらいにしか思ってなかったんですけど、想像以上に規模が大きかったと言うか。それで戸惑いがありましたね。今まであんまりSNSに自分の写真を投稿してこなかったから初めは羞恥心もあったし、どんな言葉が送られてくるんやろうって怖さもありました。
そんな中で投稿を始めて、心掛けていたことってありますか?
自分を偽って評価されても嬉しくないからありのままの姿を投稿してするようにしていました。加工はやっても肌の補正くらい。その時は撮られ慣れてた時期だったので、写りは加工が無くてもマシでしたね。今は“撮られ慣れ”がなくなっちゃいましたが。
そういうのって一度慣れたら維持できるものじゃないんですか?
それがなくなるんですよ。筋肉みたいなものですかね。筋肉もトレーニングをしなかったら衰えるじゃないですか。カメラの写りもそうです。撮られなかったら衰えます。どんな表情してたっけとか、こんな笑い方やっけとか。期間が空くとあれ?ってなります。
最初は怖さもあったということですが、実際に活動を続けてどうでしたか?
“競う”っていう状態をずっと続けることが精神的に結構しんどかったです。出るからにはそりゃ結果を残したいし、応援してくれる友達やファンがいるならその期待に応えたい。費やしてくれた時間や労力を無駄にしたくないっていう想いはあったので結果へのこだわりはあったんですけど、その気持ちを活動期間の4か月ずっと保つってなったら精神的に大変でした。
ファイナルイベントで披露した華道に込めた想い
具体的にどういうことが大変でしたか?
“数字競争”ですね。活動がスタートして1か月後の8月頃からTwitterのリツイート戦や、mystaっていうアプリを使ったポイント獲得競争があるんです。mystaなんか最後の1分で逆転もあるんですけど、自分に注いでくれた時間、労力、お金を無駄にしちゃったらどうしようって。既にみんな投資してくれてるから途中で逃げられない。やるしかない。けど怖い。今日で順位が決まるとか、来週からまた新しく始まるとか常に緊張状態。
友達と過ごしていても今投票はどうなってんるやろ?って気になっちゃうので心の底からゆっくりできる時間がなかったですね。ミスキャンのことを全く考えない時はなかったというか無意識のうちに考えてるのか、一時期ご飯が食べられなくなったりもしました。ストレスなんですかね。自分では大丈夫、全然気にしないって思ってても重圧があったんだと思います。
ファンの中には高額の課金をする人もいると聞きます。プレッシャーは大きかったと思いますが、どうやって乗り越えましたか?
近い人のサポートですね。「一緒に頑張ろう!」っていうような小さな一言に救われる毎日でした。mystaではアプリ内でコインを買うか集めるかして私に投げてもらわないといけないんですけど、ある時、友達が「コインを貯めるの楽しい!最近のマイブーム!」って言ってくれたことがあって。本心かどうかわからないですけど、そう言ってくれる人が自分の周りにいてくれて嬉しかったし、その気持ちを無駄にしないよう頑張らないと!っていう、プレッシャーを上回る周りへの感謝の気持ちで乗り切った感じですね。
常にプレッシャーを感じながらの活動ですが、そのうちにファイナルイベントの時期が近づいてきます。当時の気持ちはどうでしたか?
何をしていても常に頭の片隅にいるものがなくなる。肩の荷が下りるわけじゃないですか。なので待ち遠しいって気持ちはありました。
あと、プレッシャーはあったけど、あの時あれができたはずなのに、って後悔をするのは嫌じゃないですか。だから、中途半端はやめようと思って、それこそファイナルイベントの準備もそうですけど、頼れるところは人に頼るし、自分でできるところは何回も見直したり分析をして磨くし、後悔をしないようにするっていうのはファイナルに近付けば近付くほどやってたかなって思います。
Qファイナルイベントの自己PRではどんなものを披露したんですか?
ミスキャンの活動で華道を経験させて頂く機会があって。もともと煎茶道サークルに所属していて日本文化に興味があったから華道もずっとしたいなって思ってたんですけど、それを機に習い始めたんですよ。そしたら華道の先生が「イベントでお披露目をしたら?」って言ってくれて。華道だからできる表現と自分が伝えたいこととがマッチしたので、華道をファイナルで披露することにしました。
華道を通して何を表現しようと思ったんですか?
ミスキャンの活動って、表舞台に立つファイナリスト6人を支える人がすっごく多いじゃないですか。スタッフさんもそうですし、家族とか友人とか。そういう見えてないとこで支えてくれてる人の力ってすごく大きいなって、この活動を通して気付いたんです。
生け花って軸となる花があるんですけど、それをさらに際立たせるために草花があります。私が生けたのは白い大きなダリアって花で1本でも十分に目立ってる。でも、他の草花を周りに生けることでその白さが際立ったりします。
スタッフさんのことは私たちが一番近くで見ていますが、暑い中でも走り回ったり、睡眠時間を削って動いてくれてる。でもそれは、私たちの活動を見ている人には伝わらないわけじゃないですか。そんな悲しいことある?と思って、それを伝える機会を作りたいなって思ったんです。
プレッシャーからの解放 頬を伝った一筋の涙
そういったサポートがないと活動は成り立たないですよね。それで、いよいよファイナルのお話ですけど、どんな気持ちで迎えましたか?
前日はリハーサルがあって、そのあとは最後の配信をしていました。ファイナルイベントには身内を数人呼べるので会場に来てくれる人に向けて夜にお手紙を書いてたら深夜の3時になってしまって。朝は6時には起きないとダメだったので眠かったですね……(笑)
私自身、周りの人に感情や熱意が伝わりにくいタイプだし、そういうときほど平気なそぶりをする癖があるので、当日会場では他の出場者の子に「ナギちゃん全然平気でしょ!?」って言われてました。実際は震えるくらい緊張してたんですけどね。
当然、緊張しますよね。
一番震えてたのはイベントが始まる瞬間。ファイナリストが舞台の上に後ろ向きで並んでオープニングムービーが流れて、ライトがパッと当たって全員が一斉に振りむくっていうスタートなんですけど、その待機の時間がヤバかったですね。震えて泣きそう、みたいな。客席を向いたら前に家族や友人がいて、見たら泣く!と思ったから、ただまっすぐに前だけを向いてました。どういう感情やったかは思い出せないですけど、あの時の震えと緊張は尋常じゃなかったです。
出番はエントリー番号順ですか?
私の自己PRが華道でお着物を着るので6番目、最後でした。でも、この時も他の人のを見たり聞いたりしたら泣いちゃう!と思ったので全部シャットアウト。最後のスピーチ直前に舞台近くにいる時も、前の子のを聞かないようイヤホンを付けて。その時の写真があるんですけど、ノリノリの曲を聴いてテンションを上げてました。
舞台上では来てくれた人たちにどういうことを伝えましたか?
活動で大切にしていたことやどういう想いで活動してきたかです。私はありのままの姿を見せるということを大事してたので、そのことを伝えて。あとは家族、友人、ファンの方への感謝の想いを話しました。
結果発表の時はどんな気持ちでしたか?一番ドキドキするタイミングかと思いますが。
その時は意外と普通でした。結果どうなるやろ?とか、ホントにそのくらいで。それまでは落ち着いて周りを見れなかったから友達はどこに座ってるんやろ?とか。
でも、グランプリの発表で自分の名前が呼ばれてスポットライトが当たったら、気付いたら涙が流れてたんです。勝手に涙が出てるって初めてでした。涙って基本、予兆があるじゃないですか、胸が締め付けられるとか。それが、急にツーって。
それはどんな感情なんですか?
もちろん嬉しい、ですよね。でも、感情が追い付いてないんですよ、体の方の反応が早くて。言語化できない想い、というのが正しいかも。
改めてグランプリを受賞したことについて今、自分の中でどう感じてますか?
やっぱり自信になってますよね。自分が頑張ってきたことが定量的な結果になってるじゃないですか。概念だけじゃなくちゃんと形になって残るのは大きいですね。あの経験をしたから、あれができたから次もいけるんじゃないかって前向きになれたし、挑戦することは怖くなくなったと感じます。
今年もまもなくファイナルイベントです。最後に、今年の出場者たちへメッセージをお願いします。
ミスコンは他人との戦いと思われがちですけど実際は自分との戦いだと思うので、自分に勝ってくださいって感じですかね。しんどいことは山ほどあるし心が安らげない日々ですけど、それも一定期間です。最後に悔いが残るとミスキャンの活動全部に悔いが残るじゃないですか。終わりよければ全てよしと言うので、あともう少しの期間、全力を尽くして後悔のないように頑張ってください。