美学生インタビューInterview
喜びと不安 葛藤しながら挑んだミスコン
ミスコンに応募しようと思ったきっかけを教えてください。
アナウンサーという夢を叶える第一歩になればいいな、と思い応募しました。私は群馬県出身なのですが、私の夢を知っている家族に将来のことを相談したときに「せっかく実家を出て慶應に通うんだから、ミスコンに出るべきだよ!」と後押しされたこともあり、ずっとミスコン出場への憧れはありました。
でも、応募するにはかなりの勇気が必要で。なかなかその一歩を踏み出すことができず、ミスコンには出場せずにアナウンサーを目指そうと考えていたんです。そんな時に、大学の友達が勇気づけてくれて「ファイナリストに選ばれるかどうかは分からないけれど、とりあえず応募してみよう!」と思えたんです。
友達に後押しされて応募したんですね。応募写真はどんな写真を選びましたか?
最後の最後まで応募するか迷っていて、応募完了したのが締切の約1分前だったんですよ。だから応募写真も締切ギリギリに急いで友達に撮ってもらったもので……まさかこれを公開する日が来るなんて思っていなかったので、もっとちゃんと撮ればよかったと後悔しています(笑)
ミスコンに向けて何か実践したことはありますか?
先ほども話した通り、締切直前に応募したので準備期間がなく、特に何もできませんでした。強いていうならファイナリストに選ばれてから、ミスコンに出るなら人に見られる機会が増えるだろうと思って、歩き方を気をつけるようになりましたね。駅から家まで白線の上を姿勢良く歩くようにしていました(笑)
選ばれた時はどんな気持ちでしたか?
もちろん嬉しさもありましたけど、「本当に自分がミス慶應のファイナリストになっちゃった……」という不安もあり、複雑な気持ちでした。選んでいただけたことはすごくありがたいのですが、正直素直に喜べなかったです。
ファイナリストに選ばれたからといって、喜びだけじゃないんですね……。
どんなにミスコン活動を頑張っても、必ず将来に繋がるという保証はないじゃないですか。アナウンサーを目指してはいるものの、他の職種も視野に入れているので、長期インターンを始める方が確実に就活に活きるのではないか、と考えたこともありました。
それに、もともと目立つことが苦手で……。ミスコン活動を通して多くの人に見てもらうことがいつか苦になってしまうのではないか、と不安になり、せっかくファイナリストに選んでいただけたのに毎日泣いていました。
それでも、何も持っていない自分を変えたくて。ここで頑張らないと何も始まらないし、ミスコンは自分を変える最大のチャンスだと思ったんです。
不安が大きかったんですね……。それでもお披露目の日は来てしまいますよね。
お披露目の1か月前頃から怖くて怖くて。「嫌なことを言われるんじゃないか」とか「周りの人にどう思われるんだろう?」とかマイナスなことばかり考えてしまっていました。不特定多数の人からの評判よりも、知り合いにどう思われるかが一番怖かったんですよ。「ミスコン出るなんて莉々花変わっちゃったな」とか思われたらどうしようって。
でも、実際は全然そんなことなくて。お披露目を迎えると、地元や大学の友達、お披露目を心待ちにしてくださっていたたくさんの方からの応援のメッセージが届いてすごく嬉しかったです。「ミスコンに出るのすごいね。」みたいな褒め言葉よりも「ミスコン頑張ってね!毎日投票するね。」というような、私の力になってくれるような言葉をかけてくれた人が多かったのがすごく嬉しかったですね。協力してくれる人の存在を感じてジーンとしましたし、それまでの不安が解消されたので「ミスコンに全力投球しよう!」と覚悟を決めることができました。
ミスコンに出場して、今までの自分を変えることはできましたか?
お披露目の時の不安要因であったように、人の目をすごく気にしてしまう性格で。その性格ゆえに今までは人が発する“言葉”にセンシティブになってしまっていたのですが、最近はあまり気にしないようになりました。
ミスコンに出てから、SNSを通じて顔も名前も知らない方と関わる機会が増えて、感じていること、思っていることは人それぞれなんだと気づいたんです。十人十色の考えがある中で、ほんの一部の人の発言に傷つく必要はないって思えるようになりましたね。気にしなくなったというか、いち意見として受け入れられるようになりました。
たくさん悩んだ分、限界まで頑張りたいです。グランプリを獲ることももちろんですけど、ミスコンが終わった後に達成感が得られるように全力で駆け抜けたいです。そして、ミスコンを通して自分に自信が持てるようになればいいな、と思っています。
「言葉で人を助けたい!」アナウンサーへの強い想い
アナウンサーを目指していると話していましたね。目指し始めたきっかけはなんですか?
私が小学3年生のときに東日本大震災が発生して、その時にアナウンサーの方がヘルメットをかぶりながら画面の中で身を守るよう強く呼びかけている姿がすごく印象的で。その“言葉で命を守る”姿に漠然と憧れを抱きました。
私の中でアナウンサーが「カッコいい職業」から「なりたい職業」に変わったのは中学生の時ですね。当時、毎日見ていたニュース番組の中でアナウンサーが視聴者を励ます言葉をかけてくれるシーンがあったんです。そのシーンを見て、「言葉の力ってすごいな」って思いました。
実は当時、人間関係で精神的に辛い時期があって……。そんな時、アナウンサーが毎日伝えてくれる励ましの言葉がすごく支えになっていました。私も誰かを勇気づけたり、助けられる存在になりたいと思ったんです。
人助けができる職業ってたくさんあると思います。その中でなぜ、アナウンサーという職業にこだわったんですか?
確かに人を助ける職業ってたくさんありますけど、アナウンサーは顔も名前も知らない不特定多数の人の力になれる可能性がある特殊な職業だと思うんです。それと、中学の時の経験を通して、言葉はときには救いになり、ときには棘になると、良くも悪くも言葉の力を実感したので、「言葉で誰かを助けたい!」と思いました。
もちろん、好きな芸能人や憧れの人の言葉でも救われますけど、アナウンサーはそういう感じとはまた別だと思うんです。特別感は薄いかもしれないけれど、誰かの日常に溶け込んでさりげなく支えになれる。これってアナウンサーにしかできないことだと思うんですよね。
アナウンサーの理想像を教えてください。
ニュース番組で正確な情報を伝えることはもちろん、それにプラスして自分の考えや想いを言葉にできるアナウンサーになりたいです。自分なりの考えを持ち、さらにそれを言葉にできる勇気を持っているアナウンサーは、見ていてすごくカッコいいなって思います。伝えたいことがたくさんある中で、うまく噛み砕いて決められた秒数の中に収める。でも、それは短い秒数だからといって決して薄っぺらい言葉ではなく、誰かの心を動かし得る。それがアナウンサーに求められていることだと思うんです。
あと、視聴者を巻き込めるアナウンサーになりたいです。ニュース番組やワイドショーにおいて、画面の中の出演者だけで空間が完結してしまったら、視聴者には届きにくいと思うんですよ。例えば、コロナについて司会の人が専門家に「◯◯ということですよね?」と問いかけて、専門家がそれに答えるという構成で淡々と番組が進んでいくと、視聴者の当事者意識が低くなってしまう気がするんです。そうではなくて、視聴者に投げかけ、テレビの中だけでなくテレビの前の人も同じ空間を共有できるような伝え方ができるようになりたいですね。
夢に向かって何か実践していることはありますか?
予備校の講演会に何度か登壇させていただいたことがあるのですが、そこでは相手が聞きたいことを的確に伝えられるように意識してしました。その講演会は、高校生を相手に学部選びや勉強方法、大学生活について演説するのですが、話す順番や内容など構成を全て自分で考えます。
地方に住んでいると、どうしても都内近郊にある大学の情報を得ることが難しいんですよ。私も高校生の時に情報不足で不安に感じていたので、少しでも聞いてくれている高校生の力になれたらいいな、と思い分かりやすく伝えるよう心掛けました。具体的にはポイントを絞って、初めに結論や大事なことを言ってから理由を述べるように意識しました。それと、一番の目的は高校生が聞き入ってくれることなので、堅苦しくせずあえて砕けた口調で話したり、少し笑える要素も取り入れたりしました。
でも、夢に直結するようなことがを始めたのはごく最近で。やっぱりミスコンがアナウンサーの道への第一歩だと思っています。今までは人の目を気にしてしまったり、「私なんて……」と卑下してしまう自分がいました。でも、大学生になって本格的にアナウンサーの道を志した時、前に出て行く力が一番大切なんじゃないかって思って。大変なこともたくさんあるけれど、色々な人に見てもらって自分を切り拓いて行かないといけない。まだ踏み出し始めたばかりですが(笑)ミスコンが今後の様々な活動のきっかけになればいいな、と思います。