美学生インタビューInterview
日本舞踊研究会で国際交流を楽しんでいます
趣味はなんですか?
踊ることです!3歳の頃からクラシックバレエを始めて、受験期も辞めずに現在も続けています。
私の母がピアノの先生をやっていたので、「子どもにも芸術に力を入れて育てたい」という思いがあったみたいなんです。それでピアノや歌、さらに色々なダンスの基礎になるからという理由でバレエも始めました。
中高は創作ダンス部に入って、チア、ヒップホップ、ジャズなど色々なジャンルのダンスを踊りました。そこでバレエ以外にもこんなに面白いダンスがあるんだって気づいて。大学に入ってからはサークルで日本舞踊を始めました。
どうして大学生になって日本舞踊を始めたんですか?
私の祖父が神主をやっていて私自身も小さい頃から巫女として神社でご奉仕していたので、神楽とか巫女舞とか日本の伝統的な芸術や文化に触れていたんです。それで日本舞踊に興味を持ちました。
本当は小さい頃からやってみたいと思っていたんですけど、バレエの基本もできていないのに和舞をやったらどっちも中途半端になるので、バレエのライセンスを取るまでは日本舞踊はやらないって決めていたんです。
それで、高2の時に8ヶ月間ニュージーランドに交換留学に行った際に、現地でバレエのライセンスが取れたので大学からやっと始められることになりました。
サークルではどんな活動をしているんですか?
基本的には三田祭(慶應義塾大学の学園祭)のステージと留学生の送別会のために活動をしていて、水曜と土曜にお稽古をしています。
水曜日は自主練で生徒同士で振り付けの確認をしたり、時にはプロの方の舞台も観に行ったりしますね。土曜は藤間毱宝さんという日本舞踊界で有名な藤間流の大ベテランの方に教えてもらっています。
それと、メンバーの3〜4割が留学生なので、毎回のお稽古が国際交流って感じなんです。モンゴル、中国、ドイツ、カナダなど本当に色々な国の学生が集まってくれていますね。中には自分で浴衣や足袋を作る人もいたりして、日本文化に興味を持ってくれてたり、愛してくれているのを実感するととても嬉しく思います。
大変なことはありますか?
コロナの影響で始めたオンラインでのお稽古です。対面でやるのと身体的に離れた所でやるのは全然違うので難しいです。
踊りって間とか呼吸とか、微妙な空気を感じて踊ることが大切だと思うので、それを感じられなくなるととても踊りにくいですし、オンラインでどう稽古すればいいか本当に悩んでいます。
留学生とコミュニケーションを取る上ではどうですか?
意外と困ったことはなくて、むしろダンスがあるからこそ、他の国の人ともコミュニケーションが取りやすいんじゃないかなって思います。
私は英語がすごく得意というわけじゃないし、留学生も日本語が不十分なこともあります。けれど、たとえ言語に壁があったとしても、それを取り払って表現できるのが舞踊だと思うので、踊ることで逆に交流が深められているんじゃないかなって。
日本の文化に気軽に触れられて国際交流もできて、かつ本物の伝統的な日本舞踊を外に発信できるサークル活動ができたらいいなと思います。
唯一の学生として”プロ”のダンスの世界へ
プロのダンサーとしても活動していると伺いました。主にどんなことをしているんですか?
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「新井風味」という日本の伝統の舞とジャズヒップホップダンスという和と洋を融合させた新たなジャンルを創造するダンスカンパニーに所属し、昨年の9月から活動しています。
基本的には企業のレセプションパーティーや官公庁の催し物などで、和の文化の発信という形で呼ばれて踊ることが多いです。一般の人に直接見てもらうことはあまりないんですけど、この前はテレビ番組で石川さゆりさんとコラボして出演していました。
なぜ「新井風味」に入ろうと思ったんですか?
もともと日本文化も国際交流もスポーツも好きだったので、オリンピックの開会式で踊ってみたいなって思ってたんです。それでネットで「オリンピック ダンサー募集」で検索したらちょうどここが出てきて。
あとは劇団四季や宝塚に憧れていたことも大きいですね。劇団四季はいいとこまで行ったんですけど、もし受かったら大学に行けなくなっちゃうので、最終審査後に親とかなり真剣に相談して、勉学を優先することにしました。
でも、自分の得意な和舞と洋舞のどちらも生かせて、かつオリンピックにも近づけそうなグループに入ろうと思ってここがいいなって思ったんです。
活動を始めた頃はどうでしたか?
扇子を使って踊るのが初めてだったのと、私が苦手としていたヒップホップの要素があったので、初めは振りを瞬時に覚えることがとにかく大変できつく感じていました。
周りはみんなダンスの専門学校を出たプロの方なので、踊れることが前提の世界なんです。それに比べて自分は唯一の普通の学生で、全然踊れなくて、これやっていけるのかな?クビにされるかな?って思って初回の練習のあとは泣きながら帰りましたね。
その困難をどうやって乗り越えたんですか?
もうとにかくやるしかないと思って授業の空きコマなど、少しでも空いた時間があれば練習場に行ってひたすら踊りました。やっぱり練習が物を言うし、自信をくれるので。
最初に振りをもらってから舞台に立つまで1週間しかなかったんですよ。本番で振りを間違えたらクビになるかもしれないって思ってとにかく必死でした。だから楽しいというよりは恐怖心もあったんですけど、モチベーションは全く下がることなく練習できましたね。
これまでで特に楽しいと感じた舞台はありますか?
品川のプリンスホテルの小さいホールで踊ったことです。その時は観客の半分近くが海外のお客さんで、しかも舞台と観客の間に境界線がないというか、すごく距離が近くて。
アドリブを混ぜて踊る時に、1人のお客さんにパントマイムで話しかけたら「フゥー!」って言ってすごく盛り上がってもらえた時は楽しかったですね。普段の舞台は緊張したり、ピリピリしたりすることが多いんですけど、この時は自由な雰囲気で初めてお客さんと心を通わせることができたんです。
ダンサーとしての今後の目標は?
ダンスで人を笑顔にすることです。以前、老人ホームでボランティアとして踊った時に「元気出るわ〜。」って言ってもらえたことがすごく嬉しくて。お客さんはもちろん、おばあちゃんや友達など身近な人にも見てもらって笑顔になってもらえたらいいなって思います。
あとは、ダンサーとして踊るだけでなく演出もやってみたいですね。あまり現実的ではないかもしれないんですけど、各国の伝統の舞を一つにまとめた舞踊の祭典のような作品作りができたら面白いんじゃないかなって思います。
将来もこのままプロダンサーとして活動するんですか?
実は今、資格試験の勉強をしているんです。ダンスは永遠に趣味という形で続けていきたいなと考えています。