美学生インタビューInterview
毎日朝6時から練習!「馬漬け」の日々でタフになれました
大学生活で一番力を入れていたことは何ですか?
体育会馬術部での活動です。昨年の12月に引退しましたが、それまで週6日活動していました。
朝6時に集合して練習、それから授業に行って、また戻って練習と本当に部活漬けで。ただ馬に乗って練習するだけではなく、馬のお世話や体調の管理などやることが本当にたくさんあるんです。大学4年間ずっと馬のことを考えていました。
熱心に活動していたんですね!そもそも馬術を始めたきっかけは?
幼稚園生の時まで遡ります。たまたま車で代々木にある乗馬クラブの前を通りかかった時、馬が見えたんです。家族で「馬がいるね。車を降りて見てみよっか!」と外に出て、近くで見た馬がとてもカッコよくて!「乗ってみたい!」とすぐに心奪われてしまいました。
ただ、そこは小学3年生からしか始められなかったので、両親に「小学生になったら乗馬クラブに入りたい!」とお願いしていたんです。それで小学3年生から高校3年生までそのクラブに通っていました。中学生からは学校でも馬術部に入っていたので並行して週1回行っていましたね。
小さい頃からやっていたんですね。念願叶って始めた時はどんな気持ちでしたか?
憧れの馬術ができて嬉しかったです!
でも、実際にやってみると慣れないうちは怖かったですね。最初はポニーみたいな小さい馬で練習するんですけれど、暴れられて落ちることがよくありました。サラブレッドも見ている分にはすごくカッコいいのに、実際に乗るのは難しくて。背が高いし動きも大きいから、恐怖心がとれるまでは必死でした。
それに、馬ってとても頭がいいんですよ。乗ってる人が不安がっていたり、初心者だったりすると、それを察知してサボろうとして全然動かないんです。だから小さい頃は、ずる賢い馬だと思い通りに動かせなくて大変でした。気性が荒い馬の手入れをするときも噛まれたり蹴られたりしないように気を付けていました。
でも、だんだん馬に乗るのも慣れて、恐怖心も3年目くらいでなくなっちゃいましたね。一通り乗れるようになったら試合にも出るようになりました。
試合はどんな競技があるんですか?
大学だと馬場馬術・障害馬術・総合馬術の3つがあります。
馬場馬術は決まった経路を走る美しさをポイント制で競って、障害馬術は障害物があるコースをタイムと落下する障害のバーの減点数で競います。総合馬術は馬場と障害に加えて、「クロスカントリー」という野外のコースを走る種目の3つでおこなわれるものです。私は馬場馬術と障害馬術をやっていました。
どんな種目でも馬と息を合わせなければいけません。道具を使う他のスポーツと違って、生き物と一緒におこなうので上手くいかないことも多いです。でも、そこが馬術の難しいところでもあり、面白いところでもありますね。
馬と信頼関係を築かなくてはいけないんですね。
毎日お世話をするので、自分が担当している馬とはとても仲良くなれます。
自分も選手ですが、馬も競技をするので毎日ケアは欠かせません。特に試合前になるとエサの量を100g単位で調整したり、背中や腰の筋肉をほぐすためのマッサージをしたり……。練習後は脚をアイシングしたり薬を塗ったりして体調にはすごく気を使います。
大変ですがケアをした分、馬との距離が縮まったなと実感することもあって。例えば私が馬小屋に近づいて声を掛けると、私だと気付いて顔を出してくるんです。すごく可愛いですよね。これからもお世話を頑張ろうと思える瞬間です!
部活動で印象的だったことは何ですか?
馬術部の早慶戦に4連覇できたことがとても嬉しかったです。
早慶戦はいつもの大会とは違って7種目を競います。順位ごとに点数が決まっていて、その合計点が多い大学が勝ちなんです。種目が色々ある分、チームワークが試されるので部員それぞれの頑張りが報われたんだと感じました。全員が一つになって、勝ちに貪欲になれた大会でしたね。
それと、個人的には4年生の時に東京六大学馬術競技大会の障害馬術競技で優勝したことと、3年生の時に全日本学生馬術選手権大会で個人6位になったことが私の馬術人生で一番の思い出です。大会で練習の成果を発揮できたのが嬉しかったですね。
というのも、練習のなかで「なかなか上手になっていないんじゃないか」とスランプに陥っていたんです。コーチに相談すると「左右対称の全身運動をするといいよ」とアドバイスをもらいました。そこでバランス感覚を向上させるために水泳をしたり体幹トレーニングをしたりしたんです。
あと、全日本の大会は「貸与馬戦」といって、当日に自分でくじを引いて初めて乗る馬が決まるんです。なのでいつも乗っている馬だけではなく、他の部員やコーチにお願いして色々なタイプの馬で練習しました。馬によって走るスピードやジャンプ力など様々なので、どんな馬でも乗れるようにしたくて。そのおかげで落ち着いて大会に臨めました。今までの努力が実って本当に嬉しかったです。
部活動を通して松田さん自身が成長を感じたところはありますか?
「根性と体力はあります!」と自信を持って言えます!
毎日朝早くから長い時間練習していると、海外旅行に行ったり、サークルに入っていたりアルバイトをしたりしている友達が羨ましくなることもあって。辛いな、辞めたいなと思ったこともありました。
でもやっぱり、色々な馬や人との出会いが楽しくて4年間やり通すことができました。今振り返れば、精神的にも体力的にもすごくタフになったなと思います。このタフさを武器にして、社会人になってもへこたれずに頑張りたいです。
「きものクイーンコンテスト2016」でグランプリ!着付けの資格も取りました!
部活以外で何か取り組んできたことはありますか?
大学1年生の時に「きものクイーンコンテスト2016」でグランプリになってから、着物モデルなどのお仕事をしています。着物について深く学ぶことができた4年間でした。
コンテストに応募したきっかけは?
祖母を喜ばせたかったからです。私の祖母は着物が大好きで、お正月などのイベントがある度に着物を着せてくれました。でも、2014年に脳梗塞で右半身が不自由になってしまって、「もう着物を着せてあげられないね。」と残念がっていました。
そんな時、コンテストの存在を知って「これで入賞できたら、おばあちゃん喜んでくれるかな?」と思って応募したんです。
実際にグランプリを受賞したら、すごく喜んでくれました。思い切って挑戦して良かったです!
受賞後はどんなお仕事をしたんですか?
ポスターやWebサイトなどでの着物モデルやファッションショーに出演しました。和服は洋服とは違って独特のポージングがありますし、柄の位置によっても見せ方が違ってきます。撮影中は頭を働かせてポーズを取っていました。
あと、国際的なスポーツ大会での表彰式のアテンドも思い出に残っています。着物を着て、表彰式でメダルを運ぶんです。世界中の人に「日本の美」をアピールできるチャンスなので、おしとやかに歩くことや所作を意識していました。フィギュアスケートの羽生結弦選手やサッカーのクリスチアーノ・ロナウド選手を間近で見た時は、感激しましたね!
お仕事をしていく中で松田さん自身に成長はありましたか?
着物について勉強するようになりました。
コンテストは「着物がいかに似合うか」に焦点を当てて審査されていたので、私自身あまり着物について知らなくて。グランプリになってからも撮影やイベントで着せていただくだけで、「せっかく着物に触れているのにもったいないな」と思ったんです。
それで、ちゃんと資格を取ろうと思って、着付教室に通いました。それで一通り勉強して、上級師範の免許も取りました。浴衣や袴はもちろん、男性の着物や白無垢・振袖も全部着付けられます。その気になれば自宅で教室も開けるんですよ!
今では着物を着せる立場にもなって、成人式などで着付けのお仕事をしています。着物に対する愛着がさらに湧いて、着物のお仕事もより一層楽しくなりました。
お仕事をしていて印象的だったことはありますか?
イベントで出会った海外の人に「素敵だね。」って声をかけてもらえた時は、いつも嬉しかったです。
普段の生活で着物ってあまり身近な存在ではないじゃないですか。外国の人なら尚更そうです。でも、着物を着て色々なイベントに出演させてもらうと外国の人から「すごくいいね!」「着てみたい!」とたくさん声をかけてもらえて。一緒に写真を撮ったり、着物のお話をしたりするのが、活動のやりがいになっていました。
海外だけでなく、日本の若い年代に向けても着物の魅力を発信しました。お祭りなどの機会があっても、浴衣を着るのがめんどくさくなってしまう人もいると思います。でも、最近は着るのが簡単な着物・浴衣や、オシャレなデザイン物もたくさんあるんです。そういったものをイベント等で紹介して、興味を持ってくれた子も多くて。自分が着物文化を広めるために少しでも力になれたんじゃないかと感じました。
たくさんの人に何かを伝えたり知ってもらったりすることは本当に楽しかったです。就職してもこの経験を忘れずに、何事も自分から積極的に挑戦していきます!