美学生インタビューInterview
『学生映画・自主映画に興味を持って、足を運んでもらえたら嬉しいです』
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1.自己紹介をお願いします。
立命館大学、映像学部3回生の今中菜津美です。映画が好きで、幼いころから役者に憧れていました。自分なりに努力をしてきたんですが、高校卒業までに役者になるという目標を達成できなかったこともあり、裏方(作り手)に回ろうという気持ちで映像学部に入りました。しかし入学後、先輩に「作品に出てくれないか」と声をかけてもらったことがきっかけで、役者を目指す想いが再燃し、現在は役者や読者モデルなどの活動をさせていただいています。
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2.映画・映像に興味を持ち始めたきっかけは?
幼い頃から映画が好きだったんです。単純に映画が好きってだけで、特にすごく詳しいというわけではなく、暇があったら映画を見るという感じでした。父も母も映画が好きだったので、よく一緒に観ていました。
今はあまり洋画とか見ないですけど、当時は『タイタニック』とか『天使にラブソングを』とか好きでしたね。段々映画を知るに連れて、ミニシアター系というジャンルがあることを知って、中学、高校はミニシアター系の邦画にハマりました。高校の時に見た『人のセックスを笑うな』っていう映画が大好きで。演技も、監督がカットをかけなくて続けざるを得なかった演技というか……役者さんが本当に「素」なんですよ!永作博美さんも松山ケンイチさんも蒼井優さんも忍成修吾さんも全員好きなのもあって、この作品は本当に何度も見返しています。日常的な映画が好きですね。 -
3.将来の夢は?
役者です。なんていうか、人間くさい役者になりたいです。どんなに演技が出来ても最終的には人間性だと思っていて。魅力的な役者さんって皆さんそうだと思うんです。深い人間性というか、ブレない何かを持っている。昨日大人計画という劇団の舞台を見てきたんですけど、皆さんすごいんですよ。一人一人の味というか、そういったものがすごく出ていて、ものすごく魅かれるんです。だから私も、演技などの技術はもちろん大事ですけど、人間性を磨かないといけないな、と最近強く思うようになりました。私は全部まだまだなので。
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4.人間性を磨くために心がけてることは?
ch(*1)の時に、『劒岳』という作品で第33回の日本アカデミー賞 最優秀監督賞を受賞された木村大作監督にお話を聞きに行ったことがあったんです。そこで「何かを創る者にとって、全ての経験は無駄にはならない。遠回りしたなって思ってもそれは大事な経験。」ということをおっしゃっていて、それが自分の中にとても残っているんです。だから、泣くようなことがあっても、それは大事な経験だったな、と思えるように日々を送っています。
(*1)当時今中さんが関わっていた、高校生参加型のフリーペーパー
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5.今までどんな映画に出ましたか?またどんな役を演じましたか?
学生映画や自主映画に出させてもらっています。学生映画というと、暗いものが多いんでしょ?と結構言われるのですが、確かにそういう作品も多いと思います。描いているものが監督自身の内に秘めた感情というか内面だったりするためか、言葉や他のものでは表現しにくいものを映画としてカタチにされる方が多いように思います。だからものすごくセリフが少ないとか、表情を求められることも多かったです。でも昨年出演させていただいた『死にたすぎるハダカ』(*2)なんかは真逆で、暗いのは暗いのかもしれないですけど、叫んだり、感情を爆発させたりというシーンがあって、今までそのような演技をしたことがなかったので、それに関してはものすごく苦労して何度も稽古をつけていただきました。まず羞恥心の取り方から始まって……といった様に、とても基本的なところから教えてもらったので、監督にはとても苦労をかけたように思います。
(*2) アベラヒデノブ監督による大阪芸術大学の卒業制作作品。
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6.役者をやっていて辛いことがあった時にはどう乗り越えていますか?
最近ブライダルの仕事をさせてもらったんですけど、ブライダルモデルって、普通はモデルさんを使われるのですが、そこはあえて役者を使うところだったんです。私としては結構やりきった感はあったんですけど、ディレクターの方にすぐに降ろされてしまって。その理由が「単純に心から笑えていない」からだと。でも確かにそれはあったなと思いました。本当に新婦さんの気持ちになって、笑顔になれていたかなって思うと、そうじゃなかったのかなって。役に入りきれていなかったんですね。でも私はまさか降ろされるとは思ってなくて……。というのは、ディレクターが私の前ではとても笑顔で接して下さっていたから。私には笑顔だったのに、実はそう思っていたんだ、と思うと人間不信みたいな感じになっちゃって。悔しくて悲しくて思いっきり泣き続けたけど、いくら泣いても全然スッキリしなかったんです。
でもその時に、その仕事を紹介して下さった方に少し話を聞いてもらって、アドバイスも頂きました。それだけでものすごくスッキリしたんですよ。最近は、有り難いことなんですけど仕事で忙しくさせてもらっていて、単純に誰かに自分の話を聞いてもらう時間が無かったんです。本当の自分、素で話せるという時間を特別作ってこなかったせいで、ため込んでいた気持ちが爆発したんだなって。そこで思ったことは、普段から、深刻なことでも、どーでもいいことでも、人と話すことが大切なんだなと。そういう時間が心を休めてくれて、また頑張ろうってなるんじゃないかなと思います。 -
7.最後に読者の方にメッセージを!
えっと、まず、学生映画・自主映画に興味を持って欲しいです!どんなジャンルにも言えることだと思うんですが、こういうインディーズと呼ばれるものって、興味がある人しか知らないと思うんですよ。私が周りの人に「今度こういう映画を上映するから見に来てね!」と言っても興味を持ってくれたりするのは、それは私が映像学部という狭い世界にいるからで、やっぱり興味がない人の方が圧倒的に多いので……。最初は私もミニシアター系を観るくらいで、自主映画とか学生映画をほとんど見たことがなかったんですけど、大学に入ってから見始めたら、面白くてハマってしまったので。
「無理!」「おもしろくない!」と思ったらそれは仕方ないんですけど(笑) ためしに一度だけでも観てみてほしいな、と思います。
京都では、京都シネマやみなみ会館などでもそういった映画を流すイベントをやってくれていたりするので、少しでも興味が湧いたら足を運んでいただけたらなと思います。
菜津美さん、お話ありがとうございました! (写真=林皓太、文=堺達朗)
今中菜津美さんブログ http://ameblo.jp/723lky/
今中菜津美さん出演映画『死にたすぎるハダカ』予告編 http://www.youtube.com/watch?v=VOAWYZ9c57M