美学生インタビューInterview
一糸乱れぬ隊列、その最前列で
よさこいを踊っていると聞きました。いつからやってるんですか?
母の勧めで小学4年生から始めました。地元が高知県で、よさこいの発祥地なんですよ。
中学までは子どものチームで活動していて、高校から今所属している「とらっくよさこいbyちふれ」というチームの一員になりました。関西の大学に進学した今も、よさこい祭りのある期間には地元に帰ってイベントに出演しています。
大学の学園祭でよさこいサークルのパフォーマンスを見たことがあります。あのような踊りをやっているんですか?
高知のよさこいは県外のよさこいとは少し違うんです。県外のものはダンス要素が強くて、よさこいソーランに近い感じ。高知では鳴子(なるこ)と呼ばれる打楽器を両手に持って前進しながら踊るのがルールです。それと、祭りが発足した昭和29年に作られた『よさこい鳴子踊り』という曲のフレーズを必ずどこかに入れなければなりません。
その点以外はとても自由で、振り付けも曲も衣装もチーム独自で考えます。着物っぽい衣装のところもあれば現代風な洋服のような衣装で踊るところもあって、それぞれの個性が表れるのが見どころですね。
初めて知りました!よさこい祭り期間中の街はどんな雰囲気なんでしょう?
毎年8月の9日に前夜祭、10・11日に本祭、12日に後夜祭と計4日間開催されるのですが、その期間は街全体がよさこいの会場になります。高知市内に会場が10箇所以上あって、商店街も封鎖され、朝から晩まで踊り子たちがストリートを練り歩きます。まさにお祭り騒ぎです!
期間中は街全体が一つの家族のような感覚になるんですよね。別のチームの人や沿道にいるお客さんとも気軽に喋ることができます。普段は別々に生活してる人たちが昔から知ってる友達のような感覚で仲良くなれる、そんなよさこい祭りが大好きです!
素敵ですね!山口さんが所属している「とらっくよさこいbyちふれ」についても詳しく聞かせてください。
とらっくよさこいは高知の中でも有名なチームで、2019年にはよさこい祭りで大賞を受賞しました。所属人数は約150人。下は5歳から上は60歳まで、よさこいが好きな老若男女が活動しています。
よさこいはチームによってコンセプトがあるんですけど、うちのチームは「隊列美」を特に大切にしてるんです。「隊列美の綺麗なチームはどこ?」って聞いたらおそらくこのチームの名前が挙がると思います。
隊列美のために心がけていることはありますか?
前を向いて踊りながらも横の人との間隔は常に意識します。後ろを見る振りの時に前後の間隔を確認したり、楽しいお祭りの中でも気を抜かないことが大事です。
あとは、チームには小さい子もいるので子どもが合わせやすい歩幅で踊ることですね。先頭の人の歩幅が基準になるじゃないですか。私、このチームの最前列で踊っているので、個人的に強く意識してるポイントです。
先頭で踊ってるんですか!?すごいですね!
全然そんなことないです!ただ背が低いからじゃないですかね?(笑)並び順はリーダーが決めるんですけど、前から見たときに綺麗に見えるように、身長の低い人が前列、中列に子どもや踊りの苦手な人を挟んで、後列……という順番がベストなんだと思います。
先頭に選ばれた時はどんな気持ちでしたか?
まだ所属して2年目だったのでちょっと怖かったです。私がズレたら全員がズレるし、プレッシャーはすごかったです。でも、よさこいが好きなのでどの位置にいても楽しめる自信はありましたし、毎回楽しく踊っています!
これまでに出演したイベントで一番印象に残っているものを教えてください。
今年の2月に高知県代表として台湾のランタンフェスティバルでよさこいを踊ったことです。
「よいさ!ほいさ!」という掛け声を沿道にいる人と一緒にやることができたんですよ。目標に掲げていた「踊る人も見る人も楽しめるよさこい」を異国の地でも表現することができて嬉しかったです。
現地の方から写真撮影をお願いされることもあって、言葉が通じなくても人と人とを繋ぐことができるよさこいの魅力を改めて実感しました。
今後のよさこいでの目標はありますか?
今年の夏のよさこい祭りで2019年以来の2冠を取ることです。よさこい祭りが正規開催されるのは4年ぶりで、今年は久しぶりにマスクを取って踊ることができるので今から楽しみです!
“思い出を売る”古着屋さん
よさこい以外に今、力を入れて取り組んでいることはありますか?
今年の1月から始めた、from clothes(以下、from)という古着屋さんの運営です。
fromはパリコレの経験を持つデザイナーとソーシャルビジネスを手がける代表2人の下で、学生メンバーが中心となって活動している団体です。私はECサイトの担当で、サイトに載せる服の撮影をディレクションしたり、たまにモデルもやっています。
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どんな古着屋さんなんですか?
1970〜80年代のヴィンテージアイテムを中心に、メンズ・レディース問わず幅広いジャンルの服を販売しています。
「捨てられる服に次の物語を」というのがfromのコンセプトで、他の古着屋さんと違うのが“服と一緒にその思い出も売る”という点なんです。
思い出を売る……?
服を回収する際に服の思い出を持ち主の方からヒアリングするんです。どんな人が着ていたとか、その服にまつわるエピソードとか。そして、値札と一緒に「思い出の札」を付けて売ります。
譲る側としては、大切に着ていた服ほど思い入れがあるからなかなか手放せないじゃないですか。でも、思い出を語ってそれが買い手にも伝わるようになれば譲りやすくなる。
買う側としても、古着って誰が着ていたかわからないから買いにくいという問題があると思うんです。その服の背景にあるものがわかると安心して買えるし、眠っていた服がまた次の物語を持つようになります。
素敵なコンセプトですね!
お陰様で新聞やテレビで取り上げていただくこともあって、最近は問い合わせも増えてきています。地域の企業さんと共同で新規事業を立ち上げたり、今度、マルイでポップアップイベントを開催することも決まったんですよ!集客も自分たちで頑張っています。
直近のポップアップイベントがあれば教えてください。
私たちfrom clothesは毎月1回、大阪・本町にあるセントオーディンという会社でポップアップをおこなっています。次回は6月18日(日曜)に開催です。質も良く、思い出の詰まったお洋服をリーズナブルなお値段で販売しているので、皆様是非お越しください!お待ちしております!
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