美学生インタビューInterview
小さい頃からアートはずっと身近な存在
加藤さんは京都大学文学部に所属していますね。この大学・学部を選んだ理由を教えてください!
実家から通える大学で一番レベルが高かったので京大を目指すことにしました。文学部を選んだのは、歴史や絵画が好きでもっと学びたかったからです。特に西洋美術史を学びたいと思ってこの学部を選びました。
実際に1年間授業を受けてみて、入学前のイメージと違うことはありましたか?
京大は1回生の時は一般教養がメインで、専門の授業があまりないんですね。もっとガツガツと勉強するつもりだったのに時間割にも余裕があってそこは少し驚きました。
2回生からは西洋美術史を中心に勉強する予定ですか?
実は少し迷っているんですよね。高校までとは違って、大学の勉強って自分で問いを立てて研究していくものじゃないですか。絵画を見るのは好きなんですけど、絵に対して何か疑問を持ったり研究という視点から見たりすることはなかったので、このまま進んでいいのかな?って思っています。
西洋美術に関することだと美術修復にも興味があるんです。大学の書庫で美術修復に関する本を読んだ時に、美術修復によって絵画の描かれた背景が判明したりすることがあるのを知りました。ちょうどその時、大阪市立美術館の企画展でフェルメールの絵を修復したら天使の絵が隠されていたことが判明したということが紹介されていたんですね。そのように隠された理由を探ったり修復の過程で様々な絵に対する新しい解釈を考えたりするのも楽しそうだなと思い、もっと勉強してみたいと思っています。
他にも、メディア文化を専攻してみたいなという思いもあります。テレビや映画など現代カルチャーを扱うんですけど、今、身の回りにある文化のほぼすべてをその観点から考えることができるんです。学んでいくうちに研究したいものが出てきたときにメディア文化の側面から研究することができるのが魅力的だなと思っています。
専攻を決めるのは3回生になってからなので、2回生の間に色々と学んで自分の進路についてしっかり考えていきたいと思っています。
美術には昔から興味を持っていたんですか?
美術館に行って絵を見るのはずっと好きでした。出身が石川県で、金沢の21世紀美術館に小さい頃よく行っていたんです。小学校に上がる前の頃なので美術館の庭で遊んでいただけだったんですけど、アートは私にとって身近な存在でした。
だから、大阪に引っ越してからも美術館によく行っていたんです。大阪は公立の美術館が多くて中学生までは無料で展示を見れたりするので、気になる展覧会があったら観に行っていました。
思い出に残っている展覧会はありますか?
ちょうど受験が終わったタイミングであべのハルカス美術館でおこなわれた、印象派の画家の大規模な企画展です!一回は1人で、もう一回は友人と行ったんですけど、2回行っても大満足の展示でした!印象派の中期から後期にかけての絵が好きなので、印象派の絵が一堂に会するこの企画展はとても楽しかったです。
印象派の魅力はどんなところにありますか?
暖かみのある光の使い方が素敵です。特に今はルノワールの作品が良いなと感じています。
絵を見るときに注目するポイントはありますか?
その絵の描かれた年と場所を意識することが多いです。世界情勢によって画家の生活が左右されることも多いので、活動拠点を移した背景や移動による心情的な変化を考えたり、その心情が色合いや構図に与えている影響を想像したりしながら見るようにしています。
構図はなんとなくしかわからないんですけど、この画家さんは手足を出して前に強調した構図で描く傾向があるのかなとか、光や色の対比を意識しているんだなというのを感じ取ったりしています。何回か行けるときは1回目は解説を見ずに行って、2回目までに解説書などを読んで勉強してから観に行くようにしています。世界史の時代背景を学ぶのが好きなのでそれとの関わりを考えながら見ていくのはとても楽しいです。
あとは、気に入った絵があったらグッズショップでポストカードを買うのも楽しみです。写真立てにその展示会ごとにまとめて入れて、あとで見返せるようにしています!
今後、行ってみたい美術館はありますか?
今までは大阪や京都の美術館しか行けなかったので、国立西洋美術館など東京の美術館にも行ってみたいですね。あとはやっぱりヨーロッパの美術館を巡りたいです!実際に描かれた風景も見てみたいなと思っています。
塾講師のアルバイトにも活かされている“受験成功の秘訣”とは?
アルバイトは何をしていますか?
塾講師のアルバイトをしていて、小学生と高校生の個別指導を担当しています。
どうして塾講師を始めたんですか?
もともとは飲食のバイトをしていたんですけどシフトが流動的だったので、一週間の予定を立てやすくするためにも固定のバイトを探していたら最初に出てきたのが塾講師のアルバイトで、話だけでも聞いてみようかなって思って応募したんです。そしたらその場で採用されて、担当生徒も増えて普段は週3でバイトをしています。長期休暇中は担当生徒が受験生の場合は毎日教えていました。
塾講師をする上で気をつけていることはありますか?
特に受験直前は、いかに自分に自信を持ってもらえるかというのを意識して教えています。直前に上がる学力って限られていると思うので、難しい問題よりも基礎問題を繰り返し解いて前向きに受験に臨めるように意識しながら授業をおこなうようにしています。
自身の受験の経験は役に立っていますか?
使う教材の選定や、どの時期にどの分野をやるのかについては自分の経験をもとに考えています。私は中高一貫校出身で学校の勉強の進みが速かったので、全部がそのままというわけにはいかないので試行錯誤しながらですが、自分の受験生時代を思い出しながら教えていますね。
教える上で工夫していることはありますか?
一人ひとりに合ったスケジュールで勉強を続けられるようにすることです。特に計画を立てるのが苦手な子に対しては私が計画を立てて、その通りにやってきてもらっています。
私が受験生だった時は、「月曜日の朝は数学のこのページをやる」というように週の初めに1週間の予定を立てて手帳に書き込んで、わからなかったところや出来なかったところは付箋を貼って質問できるようにしていたんです。その方法で私は受験を乗り越えられたので、生徒にもそのようなスケジュールを組んで勉強してもらっています。
計画を立ててコツコツやるのは得意だったんですね。
テストの2週間前から計画を立てて勉強するタイプで、受験時代はその延長という感じでした。睡眠時間を確保しないと勉強に集中できなかったので、規則正しい生活をできるように毎日のスケジュールをしっかり立てていましたね。
受験時代はどのような生活をしていたんですか?
高校が開く朝6時半に学校に着いて、ホームルームが始まる8時半までと、授業が終わってから2、3時間は学校で勉強するようにしていました。
ただ、家に帰ってからはリラックスする時間を多く作っていました。1年間という長い期間勉強し続けないといけないので、体力がなくならないようにっていうのは常に気をつけていたんです。だから、塾の生徒にも無理せず学力を伸ばせるような計画を立てるようにしています。
塾講師のバイトをしていて一番印象に残っていることはありますか?
担当生徒が目標を決めて教えてくれたことです。
当初はなんとなく自分が行けそうなレベルの大学に行ければいいやぐらいに思っていたようだったんですが、目標を持たずにだらだらと勉強するのはもったいないと思ったんです。そこで、勉強したいことや関心のある仕事など、ざっくりしたことから順番に質問していって、自分が興味を持っていることを明確化できるように手助けしていったんです。
そして、どの大学だったらその生徒の興味のある分野を学べるのかや大学の特徴などを私なりに調べて、授業中などにたくさん伝えていきました。
そうしたらその後、ちゃんとした理由を持って志望大学を決めてくれたんです!長い受験勉強を乗り切るのには目標を持つことが大事だと思っているのでその思いが伝わって嬉しかったですし、絶対に合格できるようにサポートしていこうって改めて思いました。
素敵なエピソードですね!塾講師のやりがいを教えてください。
私は英語をメインで教えているんですけど、自分で作っていった授業に対して「わかりやすい」って言ってもらえた時はとても嬉しいです。ただ教えるだけじゃなくて背景知識も伝えるように意識していて、単語の成り立ちなどの豆知識を授業の合間に教えた時に「面白い」って言ってもらえるのも嬉しいですね。
何より担当していた生徒が合格した時の喜びは格別です!授業のカリキュラムなども全部自分で一から考えていたので、それが結果に結びついて生徒の笑顔が見れた時は本当に嬉しかったです!