美学生インタビューInterview
祖父との絆!こぶしがうなる本格派日本民謡
平井さんは民謡を習っているそうですね!いつから始めたんですか?
2歳から今も続けていて、これまでに大小合わせて200回ほど舞台に立ちました!
祖父が民謡の先生なので、お弟子さんが家に来てよくお稽古をしていたんですよ。小さい時からずっと近くで聴いていて、気付いたら自分も歌えるようになっていました。覚えていないのですが、2歳の時に公民館でおじいちゃんおばあちゃんの前で太鼓叩きながら歌っている初舞台の写真が残っていて、こんな幼い頃から歌えていたのかとびっくりしましたね(笑)
そもそも民謡とはどういったものなのでしょうか?
私が習っているのは日本民謡で、全国各地で古くから口承で伝えられてきた歌のことです。演歌は男女の恋愛などを歌ったものが中心ですが、民謡は仕事歌や酒造りなどの生活に身近な歌なんです!
お稽古はどんな感じでしたか?
まずはメロディーラインから練習します。祖父が見本で歌って、それを真似ていく感じです。歳を重ねるに連れてもう少し専門的なこと、口構えやこぶしについても教えてもらいました。口構えというのは、例えば明るい音を出すために口角を上げたりする発声のテクニックのことです。こぶしは演歌とかでよく聞くあのこぶしです。カラオケのこぶし機能ってあるじゃないですか、それを極めまくってる感じですね(笑)
こぶしって空気の流れを変えることで表現するものなんです。空気を出す道を上手く作ることがコツなんですが、喉の圧力がないまま勢いよくこぶしを効かせると痛めてしまうんです。だから、ちゃんと発声法を学んで、喉も鍛えて、小学4年の頃にはこぶしもマスターしました。
きちんと練習するのは祖父の家に行く週2回でしたが、それ以外の日も楽しくて自主的に歌っていました。祖父の稽古はとてもスパルタなので、打たれ強さが身につきましたね。
民謡に一番力を入れていたのはいつ頃ですか?
中学生の時です。老若男女問わず出場できる民謡の県大会に向けて練習をしていました。母も大会で2位になるような実力者だったので、母と祖父をライバル視しながら練習していましたね(笑)
大会では声の良し悪しや勢い、抑揚や表情の付け方などを審査されます。それまではただ好きで歌っていた民謡が、評価されるために歌うような気持ちになってしまって、一時期、民謡が楽しくないと思うこともありました。
さらには中学2年の時、公民館で歌っていると客席から「下手くそだから聴かなくていいよ。」って声が聞こえて、歌ってる途中に帰って行かれたことがあったんです……!その時は本当に悔しくて、民謡を辞めようかなという気持ちになりました。
それは辛いですね……。そこからどうやって乗り越えたのでしょうか?
悔しさをバネに、「見返してやろう!」って毎日毎日練習しました。また、祖父や祖母、両親の応援が心の支えになりました。祖父は練習中はスパルタですが、大会が終わったらすごく褒めてくれるんです!動画も撮ってくれて、それを何度も見返して褒めてくれて……それがすごく嬉しくて「もっと頑張ろう!」って思えたんです!
辛いこともありましたが、聴いてくれる人たちが手拍子をしてくれたり、自分の歌で会場が一体になって盛り上がったりする、その楽しさの方がずっと大きくて、だから今でも楽しく民謡を続けています!
素敵な家族の絆ですね。平井さんにとって民謡の魅力とはなんでしょう?
民謡ってその土地々々の生活に根付いてる音楽だから、初めて聴いてもどこか懐かしい感じがするんですよ。それが一番の魅力かなと思います。
今は技術とかが発達して、自分のルーツや故郷のことを忘れてしまいがちですけど、そんなときは民謡を聴いて思い出してほしいなって思いますし、これからもそんな人々の心の拠り所である民謡を歌い継いでいきたいです。
福娘の選考に挑戦!即興の民謡で審査員の心を掴む!?
平井さんは令和5年度今宮戎神社福娘代表として活動していましたね。まずは応募しようと思ったきっかけを教えてください。
たまたまインスタグラムで募集の広告が流れて来て、直感で応募しなきゃって思ったんです(笑)今まで民謡以外で人前に立ったことなかったのですが、ちょうど新しいことをやってみたいなと思っていた時だったので、コレだ!と思って応募しました。
選考は4次まであり、最終選考では大きなホールで審査員の前で自己PRをします。数千人の応募者の中から最終的に選ばれるのは40人なので、めちゃくちゃ倍率が高いんです。
最終選考ではどんなことをしましたか?
15秒の自己PRがあって、そこで『花笠音頭』という秋田県の民謡を歌い、念願の福娘に選ばれることができました!ただ、音程が低い歌だったので、皆さんに届いていない気がしたんですよね。
最終選考の1週間後に、40人の福娘の中から3人の代表を決める代表選抜会があったのですが、そこではもっと高いキーの歌を歌うことにしました!
代表選抜会では何を歌ったのですか?
『秋田大黒舞』という新年のめでたさを歌う民謡を、今宮戎神社のえべっさんバージョンで歌いました。「大黒様」の歌詞を「えべっさん」に変えたり、「今宮戎」という言葉を入れたりと自分でアレンジしました。
本番前は緊張しましたか?
緊張しました(笑)審査員や司会の桂文枝さんから話を振られて、アドリブで受け答えをしないといけないという話を事前に聞いていたので、それもプレッシャーでした。
でも、祖父が会場に応援に来てくれて「自信持ってや〜!大丈夫〜!」って声をかけてくれて安心しましたね。祖父はお手本の音声を用意してくれて、直前までその録音を聞きながら心を落ち着かせて本番に臨みました!
アドリブの受け答えは上手くいきましたか?
自己PRのあと、桂文枝さんに「すごいねぇ!民謡の十八番、何?歌ってみてよ!」と言っていただき、『おてもやん』という熊本の民謡を即興で披露しました!
すごい!その適応力が評価されたのかも知れませんね。代表に選ばれた時の気持ちはどうでしたか?
良かった〜〜!って思いました。正直、自信はなかったのでびっくりしましたね。家族や友達も応援してくれていたので良い報告ができるぞって思いました!
代表はどんなことをするんですか?
福娘は十日戎前に、回礼でテレビ局や消防署をグループで訪問するお仕事があって、そこでリーダーを務めるのが代表です。上方締めを覚えて音頭をとったり、テレビ取材で代表としてインタビューを受けたりします。
十日戎当日はどうでしたか?
人がめちゃくちゃ多くて、きつい着物を着ながら朝から晩まで大変でした。みんなもしんどいだろうなと思い、「頑張ろう〜!」という掛け声をして盛り上げ役に徹していましたね。
ご奉仕の際には、参拝者の方とたくさんお話しすることを心がけていました。「今年はどんな一年にしたいですか?」とお聞きして、その人にあった縁起物を選ぶんです。めっちゃ稼ぎたい!という方には、大判や米俵、鯛など金運UPに繋がる縁起物を選んで、「いい一年になりますように。」とお伝えして福笹をお渡ししました!
家族も参拝に来て「すごいね〜!カッコいいね〜!」って喜んでくれて、親孝行ができたみたいでとても嬉しかったです。
最後に、福娘を通して得られたものを教えてください。
“辛い時こそ笑顔”ということです。寒い中、私たちのご奉仕を受けるために参拝に来てくださる方がたくさんいらっしゃって、それってすごく有り難いことだと思うんですよね。どんなときも笑顔で心地の良いコミュニケーションが取れるように精神力を身につけることが大切だということを学びました。
また、私はアナウンサーを目指しているのですが、福娘はアナウンサー志望の人が多いので、同志が近くにいる環境を作れたという点でも応募して良かったです!