美学生インタビューInterview
無意味だと思うことは「いたしません」
沙季さんは今4回生ですよね。これまでの大学生活を振り返って思い出に残ってる出来事って何ですか?
2つあって、一つは学園祭の実行委員で2回生の時に局長を務めたこと。もう一つは3回生の時に出場したミスキャンパス関大です。
では、学園祭の話から聞きますが、実行委員に入ったきっかけは何だったんですか?
1回生の時、たくさんのサークルがあって何に入ったらいいかわからない中、中学高校で1つ上だった先輩が実行委員をしていて。それで入ってみようと思ったのがきっかけです。
入ったら最初に何をするんですか?
実行委員は、お笑い芸人やアーティストを呼んでイベントをする『ライブ局』とか模擬店を担当する『模擬局』とかいくつかの部署に分かれていて、私は『広報局』に所属してました。
協賛金を集めたり当日配布するパンフレットを作ったりする部署で、最初の仕事はパンフレットに広告を出してくれる企業を探す営業をしました。電話でアポを取って実際に訪問します。
その仕事、大学生には結構ハードル高くないですか?
やったことなかったから最初はドキドキしましたけど悪いことをしてるわけじゃないし、マニュアルがあってそれに沿って「協力していただけませんか?」って質問をするだけなので。
企業や店舗の都合がいい時間を把握してるわけじゃないので「忙しいねん!」って怒られることもあるんですけど、3日間で1人1日50件くらい、とにかくみんなで手当たり次第電話を掛けたので最後らへんは多少のことでは何とも思わなくなりました。
それは鍛えられますね。実際に何件くらい訪問したんですか?
私が訪問したのは3件です。スーツを着て、説明の資料と名刺を持ってお邪魔して、相手にどういうメリットがあるのかを重点的に説明しました。
食い気味にいい反応をしてくれるところもあったんですけど、結果的にはどの企業からもOKはもらえなかったんです。
契約を取るのは難しいですね。やっぱり断られると悔しい?
前年度からの引き継ぎの企業と比べて新規は難易度が全然違います。協力してもらえないのが前提なので話を聞いてもらえただけでありがたいです。一喜一憂してる暇はないので悔しいとかはなかったですよ。
営業以外もやることは多いと思います。活動でトラブルなどはなかったですか?
組織内で色々と細かいルールがあって、それに疑問を抱いて先輩と対立することはありました。まとめ役の3回生がいるんですがその方たちの意向が理解できなくて。結構そういうところにも突っ込んじゃうタイプで、無意味って思うことはしたくないんです。
どんなことで対立したんですか?
例えば、朝の集合時にその日の活動に使える教室を言われるんですけど、それをメモに取らないといけない。けど、集合が終わったらその情報はLINEで全体に流されるんです。
だったら何でメモしないといけないの?と思って書かなかったんですね。そしたら突っ込まれるじゃないですか。それで「何でメモを取らないといけないんですか?」って聞いたら全体がシーンってなりました。
言っちゃうタイプなんですね、そういうの(笑)
言い方が悪かったのは謝りました、そこは指摘されたので。でも、先輩たちも何でメモが必要なのか誰もわかってなかったし、考えたこともなかったみたいで。行動の意味とか方針をちゃんとまとめられてなかったのを認めてくれて、あらためてビジネスマナーとして人が言ったことを忘れないようにする習慣を身に付けるため、ということで続けることになり、私も納得しました。
「プライド」と「失敗」と
何も考えず習慣でやってることってありますよね。2回生で局長になったということですが、立場が変わってどうでしたか?
人に意見をしていた以上、私自身に突っ込みどころがないよう、絶対に抜かりなく全ての作業を完璧にするって気持ちでした。やってない人が何か言っても“やってから言えよ”ってなるじゃないですか。それが嫌で。
確かにそうですけど……。
なので、最初はがむしゃらに仕事をしてたんです。一番熱量があるのは自分だと思っていたから局長にも立候補しましたし、自分がやった方が効率的で、クオリティも高いって考えだったので。
でも、作業は思ってた以上に莫大で、だんだんキャパオーバーになってミスが出てクオリティも下がっていく。1回生の時は振られたことをやるだけだったから全体の仕事量が見えてなかった。見えてないところで先輩たちは自分の時間を削ってたんだなって。やってみて初めてわかりましたね。
それでその先どうしたんですか?解決策は?
先輩に相談したら「どうして自分一人で全部しようとしてるの?」って。一つひとつは簡単だからやれば全部できちゃうんですね。それに“できない”ってことが認められなかったんだと思います。
プライドが高い方ですね。
高い方です(笑)何でもそうだけど一生懸命やらないと困難にぶち当たらない。成長するのってそんな時じゃないですか。真剣じゃないと意味がない。無意味にしたくなかったけど自分しか見えてなかった。失敗するまで気付かなかったんですよ。そこでようやくやり方を変えて、仕事をみんなにきちんと振るようにしたんです。
それで自分や周りに変化はありましたか?
当事者意識が生まれてチームワークが良くなりました。
遅刻魔でいつもふざけてばっかりの男の子がいて、何でちゃんとしてくれないの!?ってずっと思ってたんですが、その子がいないと雰囲気が暗くなるんです。楽しいと作業効率がよくなるじゃないですか。
一人一人得意と苦手があって見てるとこの子にはこういうことを頼めばいいんだってわかってきて。上に立つ人は下の立場の人たちの適性をしっかり見て、仕事を割り振ることが仕事なんだって気付きましたね。
今、それに気付く前の自分を振り返るとどう思いますか?
かわいそうですね。すごく自己中だし、どうして1人で全部できると思ってるのかマジで謎だし、なかったなって感じです。自分の力を過信し過ぎていたので見直すいい機会になりました。
では、学園祭自体は成功した感じですか?
何をもって成功とするのか難しいですけど、みんなが頑張った、満足したって思えたらそれは成功だと思います。私はやって良かったです。
ただ「楽しかった?」って聞かれるとよくわからなくて。というのも、何かをするなら“もう戻りたくない”ってくらいやり切りたいんです。ただの楽しい思い出なら戻りたいって思うんですけど、全く戻りたいって思わないので、100%やり切りましたね。
覚悟と戦略で掴んだグランプリの称号
3回生ではこれまでの活動とは一転、ミスコンに出たんですよね。
コロナ禍で日々たくさんの方が亡くなっているとニュースで報じられて世の中がどんどん暗くなる中で、自分はめちゃくちゃ元気なのに何もできない。そんな時、SNSやYouTubeで発信をする人が増えてきて、私もミスコンを通して自分を発信してみようって思ったんです。
どんなことを発信しようと?
最初は日常の一コマや自分の盛れた写真を投稿したり、Twitterで誰かの話し相手なることが誰かの気持ちを明るくすることに繋がると思ってたんですよ。
でも、その考えは違ったなって。私の写真が楽しみって人もいるけど、ミスコンファンの方々って頑張る姿に元気や勇気もらうって人の方が多い。例えばイベントで絶対に1位を獲る!って配信したり、一生懸命コメントを返してるのを見てじゃあ応援しようってなるので、だったらイベント一つひとつに本気で向き合っていこうって思いました。
コロナ禍ですからイベントもオンラインですよね。
対面は無くってリツイート数やアプリで課金してもらってポイントを競います。その時はリゼクリニックとmystaって配信アプリで他のファイナリストと競いました。
イベントに参加しての感想は?
毎日数字に追われることになるのでその辺がキツかったですね。でも、ファンの人たちの中には応援慣れしてる方たちがいて、データ分析をしてくれたり、フォロワー数の推移を折れ線グラフにして送ってくれる人がいました。
他にもmystaだったらポイントを増やすため最低限私が毎日しないといけないことを教えてくれたり、これを伸ばすにはこういうタイミングでこういう配信をしないといけないとか、アドバイスをくれる人たちが結構いるんですよ。その情報を取捨選択して戦略を立てました
コンサルタントがいるんですね。一番参考になったなというアドバイスは?
イベント期間の最終日の配信は、イベント終了時間の5分前くらいに終わるっていうのですかね。
最後の応援をお願いします!絶対に勝つぞぉー!って士気を高め、そのままアプリに行ってポイントを入れてもらう。最後の1分で10万円以上課金する人もいるんです。競ってる相手にそれをされると一瞬で逆転されることもあるので、できるだけ直前に入れてもらうのがいいって教えてもらいました。
それからSNSは重視するものを決めていました。インスタグラムは身近だけど、フォローしてる子が投票お願いします!って言ってても毎日はしない。それよりも普段使わないアプリをわざわざ入れて配信を見てくれるコアなファンを狙う。インスタグラムよりTwitter、Twitterより配信アプリのフォロワーを重視してました。
すごい戦略だし、そんな高額の課金をする人もいるんですね……!実際のイベントの順位はどんな感じでしたか?
リゼが3回、mystaが第4弾まであって全部1位でした。勝つために掛けた自分の労力もそうだし、応援してくれた方の時間とお金も半端なかったのでプレッシャーがすごくて……。1位を獲った時は嬉しい!っていうより安心感。よかった~……って感覚でしたね。
ファイナルイベントにはどんな気持ちで臨みましたか?
グランプリはWeb投票と当日票で決まるんですが、私がここで発する一言で、結果が変わるかもしれない。自分が今まで頑張って集めてきた票が全て無駄になってしまうかもしれない。そう考えると全く気が抜けませんでしたね。スピーチは暗記するだけじゃ機械的になっちゃうから、その場の感情を込められるよう何十回と練習しました。
その舞台で見事グランプリ獲得となりました。
ここでもホッとしたという感情が100%でした。嬉しいと感じたのは少し後です。
でも、本当に貴重な経験でした。普通に生活してたら絶対できない。成長できたし、そこから得られたことがすごく多くて、本当にやって良かったです。
今年もミスコンが開催されます。最後に今年出場する後輩たちにメッセージを。
ミスコンに出ようと思った目的やなりたい自分の姿があったと思うんですが、活動中は忙しさに追われる中で“なりたい自分”と“応援してくださる方が求めてる自分”が違ってくることが多いです。
だけど、それでも目標を見失わず最後まで努力できるのが強さなので、今年のファイナリストたちにはその気持ちを失わずに頑張ってほしいです。