金ナノ粒子が光触媒活性に与える影響について研究中
大学ではどのような勉強をしていますか?
4年生の4月から研究室(ラボ)に配属され、現在は実験をしたり論文を読んだりしています。東京理科大学では1、2年生の頃に幅広い分野(理学部なので化学を中心に数学・物理など)の基礎を学び、その中で自分が興味を持ったものを3、4年生で専攻するといったカリキュラムの流れになっています。その中で私は、「光化学」や「触媒作用」に興味を持ち、現在は金ナノ粒子が光触媒活性に与える影響について研究しています。
研究内容を詳しく教えてください。
「光触媒」とは光を照射することにより触媒作用を示す物質の総称ですが、色々と種類があります。代表的なものでいうと窓ガラスに汚れがつきにくくする“防汚作用”も光触媒の機能の一つです。私は光触媒の中でも「水分解光触媒」について研究しています。水分解光触媒というのは、簡単にいえば水に光触媒の粉を入れて太陽光を当てると、酸素と水素に分解されるというものです。最近、水素エネルギーなどが注目を集めていますが、そういったクリーンエネルギーの開発に貢献できればいいなという思いで日々研究に取り組んでいます。
どうして、エネルギー分野に興味を持ったんですか?
もともとは中学・高校生くらいの時に、「地球上に降り注ぐ太陽光のエネルギーを数%でも利用できれば、全人類が生きていけるだけのエネルギーを全て賄える」という話を聞いたことがきっかけです。「じゃあ、利用すればいいじゃん!」と思ったんですよね(笑)
あと、私は日本が大好きなんですけど、将来的に少子高齢化とかで日本の国力が落ちていく中で、エネルギー問題を解決できる技術力があれば、まだまだ日本も発展していくことができるのではないかという思いもありました。
自分の知的好奇心を満たしてくれる科学が好き
小さい頃から理科が好きだったんですか?
はい。好奇心旺盛で、勉強はわりと好きな方だったんですけど、中でも特に国語と理科が好きでしたね。国語は小説を読むのが好きだったことや、良い先生に恵まれたことで古文や漢文なども楽しく学ぶことができました。理科に関しては、“ロジカルなところ”が魅力的でした。「目の前のコップは何からできているんだろう?」「電車ってどうやって走っているだろう?」といった風に、昔から身の回りの物事について「何で?」と考える癖があったんです。そういった疑問に対して、分かりやすく論理的に答えてくれる学問が「科学」だったんです。自分の知的好奇心を満たしてくれる点が、科学(理科)を好きになった理由だと思います。
科学を勉強してきて、知識が深まる以外に新しく得た考え方などはありますか?
科学を勉強すると、逆に「世の中には絶対的なものはないんだな。」という気持ちになるので、柔軟に生きようって思いますね(笑)
それは、一体どういうことですか?(笑)
量子力学の世界に、「ハイゼンベルクの不確定性原理」というものがあります。これは、簡単に言うと「物体の位置と運動量を同時に決めることはできない」というものです。粒子の運動とかは、「絶対に今この位置で、この速さで動いている」とは言えないんです。そんなモノを構成する最小単位でさえ不確定なのだから、世の中とか人間の心とかに絶対はないんだなという気分になるんです。哲学的な話になってしまって、自分でも何を言っているか分からなってきました(笑)
すごく個性的ですね。林さんは将来、どのような道に進みたいと考えていますか?
まだ未定です!好奇心旺盛なので、どの仕事も面白そう!ってなるんですよね。ただ、同じことをルーティンでやり続ける仕事というよりは、トライ&エラーを繰り返すような正解のない仕事のほうが向いているかなとは思います。実験も、計画→実行→検証→改善の繰り返しなので、理系学生はいわゆるPDCAサイクルのような、どんな仕事でも求められる能力を身につけることができます。もう少し色々なものを見てから、自分の進む道を決めたいと思います。