夢に見るほど不安だった
あと一ヶ月ほどで今年のミスキャンパス同志社のファイナルイベントが開催されますね。あれから一年。当時のことを聞かせてください。
先日、今年のファイナリストが受けているスピーチレッスンの見学に行ってきたのですが、スピーチを聞きながら同じようにレッスンを受けていた一年前の自分を思い出しました。私は去年のこの時期にこのレッスンで、周りから心配されるほど泣いてばかりだったんです。ファイナルイベントでのスピーチが不安で仕方なくて…スピーチをしている夢を見てしまうほどでした。800人前後の方がお金を払ってまで見に来てくれているステージで成功させられるのだろうか、本当に私の思いを響かせることができるのだろうか、そんなことばかり考えていました。
そんな不安を抱えたまま迎えたファイナルイベント当日。どういった心境でしたか?
ステージに上がる直前まではとにかく不安で仕方なく、押し潰されそうになっていました。でも、控え室で本番を待ちながら段取りの最終確認をしていたときに友達から花束が届いたんです。とても暖かな気持ちになったことを覚えています。それのおかげか、ステージに上がる階段の前では気持ちは吹っ切れていましたね。実際にステージに上がると、こんなに大勢の方が舞台に立つ私たちに注目してくれているんだということに感動して、こんな経験は人生で中々できることではないと思い、身が引き締まりました。
肝心のスピーチは成功しましたか?
一つもミスなくスピーチすることができました。ファイナリストとしての半年間、私を支えてくださった方への感謝、そして自分の夢を上手く伝えることができたと思います。実はステージから家族の顔が見えた時に一瞬泣きそうになったのですが、ここで泣いてはいけないと思い、ぐっとこらえました。スピーチを終えたときは今までの不安が嘘だったかのように気分が晴れ晴れとしていました。
グランプリに選ばれた時の心境を聞かせてください。
ドラムロールが止み、自分の名前が呼ばれた時は驚きと喜びの感情が入り混じり、その後、今まで支えてくださった全ての方への感謝の気持ちから涙が溢れてきました。ステージでのパフォーマンス中は絶対に泣かないと決めていたので、その日初めて泣きましたね。徐々にグランプリをいただいたことを自覚し始めて、その後のスピーチでは自然と「ミス同志社として恥の無いように」という言葉が出たことを覚えています。あと、グランプリに選ばれたこともそうなのですが、半年間仲間としてファイナリスト全員で頑張ったことも誇りに思っています。この6人とはミスキャンが終わってからもよく集まったりするほど仲が良くて、彼女たちとの出会いもかけがえのないものとなりました。
生け花との出逢いが私を変えてくれた
ミスキャンの活動の中で印象に残っていることはありますか?
生け花の体験ですね。私は親の転勤の関係で小学校から高校2年生の秋までアメリカに住んでいて、日本の文化や習慣にきちんと触れたことがなかったんですよ。帰国してからもそれら受け入れることができず、アメリカに帰りたいと思うほどでした。そして、日本人でありながら日本文化や日本の習慣をある種毛嫌いしている自分に、どこかコンプレックスを抱いていました。そんな思いを変えてくれたのが生け花との出逢いだったんです。生花は、ファイナリストとして活動する期間の終盤で体験させていただきました。ファイナルイベントも近づき切羽詰まっている状況だったのですが、自分自身がとても穏やかな気持ちになることができたんですよね。歴史のある建物や畳での作業、美しい花々との触れ合いが不思議ととても落ち着かせてくれたんだと思います。このことがきっかけでファイナルイベントでも生け花を披露しようと決めました。
どのような生け花を披露したのですか?
私のルーツをテーマにしました。まだ何色にも染まっていない、これから染まってゆく白いバラを私に見立てて中心に置き、いつも明るく優しい母を黄色、私を包み込んでくれる父を大きな葉、肝心な時に頼りになる兄を紫色と、周りを様々な色の花や葉などを使い家族を表現しました。さらに、今ここに私が「近江葉月」としてあることができるのは家族だけでなく、ご先祖様がいたおかげです。その方々が積み重ねてきてくれた長い歴史を苔で示しました。苔って案外その辺にいくらでもあるように思われるかも知れませんが、実は何年も何年も雨や雪に耐えることによりできるものなんですよね。この作品を通じて、私がここまで来れたこと、そしてそのことへの感謝を表すことが出来たと思っています。
日本の第一印象となる仕事
現在大学4回生ですが、卒業後の進路は決まっていますか?
昨年、美学生図鑑の取材を受けた際に「キャビンアテンダントになることが夢です」お話ししました。その後、希望していた通りにいくつかの航空会社から内定をいただきました。まだどの会社を選ぶかは悩んでいる段階ですが、小さな頃から夢が叶ってとても嬉しいです!
おめでとうございます!近江さんはどんなキャビンアテンダントになりたいですか?
日本と外国を繋げることのできるキャビンアテンダントになりたいです。海外のお客様が日本にお越しになられる際に、一番初めに出会う”日本人”が私たち、キャビンアテンダントです。言わば、日本の第一印象が私たちになるんですよね。私たちの対応一つ一つが日本の評価に繋がるということを常に意識し、仕事に取り組まなくてはいけません。そのために、マナーだけでなくビジネストークなども勉強している最中です。責任が伴われることですが、海外に住んでいた経験とミスキャンを通じて得ることのできたものの両方を活かして頑張りたいです!