美学生インタビューInterview
学生キャスターを経験して気づいた、人からの見られ方の大切さと責任感
学生生活で力を入れていることはありますか?
テレビ朝日の学生キャスターの活動です。今はBS朝日の『NEWS ACCESS』と『Abema News』の2つを担当しています。
学生キャスターを目指したきっかけは何ですか?
小学生の頃から毎朝テレビで見るアナウンサーの方の姿に、漠然と憧れを抱いていました。中学と高校で演劇部に所属し、自分の声で表現することの楽しさを知ってからはより目指したい気持ちが強まりましたね。
高校に入り、それまで母の薦めで習っていたバレエを辞めた後には地元のアナウンススクールに通い始めました。実際にアナウンサーをされている講師の方の授業を受けると、言葉でニュースを伝えることの責任の重さも実感するようになりました。
着々と夢への準備を進めていたんですね。
高3の頃には、学生のうちからキャスターとして仕事を経験できるという点に惹かれ、テレビ朝日のアナウンススクールの説明会や一日体験に参加し、大学入学後から通い始めました。
授業を受けつつ、年に2回ある学生キャスターのオーディションも受けていました。審査は原稿読みや自己PRという基本的な内容だったのですが、実はこれまで3回も落ちているんです……。
学生キャスターは狭き門ですよね……。当時を振り返って反省点はありますか?
正直、今考えても読むこと自体は上手だったと思います。でも、私は人から見られるという意識が足りていなかったんですよね。例えばですが、お辞儀をした時に髪が落ちてこないようにするとか、目線や口の動きを意識するとか、あとは服装もですね。周りの方はジャケットを着たりパンプスを履いたりしていたのですが、私はワンピースにカーディガンを羽織って厚底のローファーを履くという、普段通りの服装だったんです。
ニュースは読むのではなく伝えるものだとアナウンススクールの先生方にご指導いただいていましたが、大切なのは読みの技術だけではないんだと感じた瞬間でした。読みの技術や印象も合わせて「伝える」ということなんですよね。
それからは、人からの見られ方も考えるようになりました。
技術だけでなく、印象も大切なんですね。現在の学生キャスターの活動内容も教えてください。
『NEWS ACCESS』では、毎週火曜〜木曜の夕方にシフト制で学生キャスターが担当することになっていて、私は3、4週間に1回出演しています。2分間で2本のニュースを読むのですが、残り30秒ではここまで、20秒ではここまで読み切る、というように尺がしっかり決まっているので、時間を調整しながら伝えることの難しさを感じています。
また『Abema News』はまだ研修中で独り立ちしていないのですが、月に1、2回出演しています。撮り直しができるため、比較的自分のペースで話せるのですが、待機時間で寝ていたとしても速報が入ると突然電話がかかってきて行くこともあるんです。
実際に仕事としてニュースを読んでみて、何か感じたことはありますか?
キャスターは華やかな印象ですが、実際はプレッシャーも多いお仕事だということです。制作には原稿を作る方、撮影をする方、時間の指示を出す方など、本当に多くの方が携わっていますし、もし自分が間違えた場合、ただ悔しいだけで終わらず、局全体の責任にもなってしまうんですよね。
特にそう感じた瞬間はありましたか?
初めて『NEWS ACCESS』に出演した日のことです。原稿では、事故で女性が重体であるという内容だったのですが、ニュースが始まる少し前に容態が変化し、その女性が亡くなってしまったんです。ニュースの開始も終了時間も決まっていて時間が変更できない中、一から原稿を差し替え、リハーサルをしてなんとか本番まで終えられたのですが、視聴者の方に常に正しい最新情報を伝えなければいけないという緊張感や責任感を身をもって体感した機会でした。
突然の出来事にも臨機応変に対応する力も必要なんですね。今後の目標を教えてください!
少し声をうねらせてしまう癖を直して、落ち着いたトーンでニュースをお伝えできたらと思っています。それと、今まで以上に日頃から新聞を読んだりニュースを見たりして幅広く色々な知識を得て、社会の出来事に理解を深めていきたいです!
ゼミの掛け持ちやリタジーサークルなど幅広い活動に挑戦!院進も検討中
高木さんの日頃の生活についても教えてください。アルバイトは何かやっていますか?
アメリカ料理のレストランで働いています。男女共にスーツをビシッと着こなしていてふるまいが素敵な社員の方々の姿や、店内の内装などが魅力的なんです。
私はホール担当なのですが、ただ料理の注文を取るだけでなく、お客様のケアをするというイメージで動いています。食べ終わったらすぐにお皿を下げたり、タイミングを見てお水やお皿を交換したり、お客様とコミュニケーションを取ることを大切にしていますね。
参考にしている接客はありますか?
先輩方の接客です。この前は男女で来ているお客様がいて、その常連の男性がお手洗いに行った後、伝票をすぐに印刷して女性から見えない所でその方に渡していたんです。男女共に引き立たせるべく、お会計をスマートに済ませられるよう、お客様の様子を見て先回りして動くところが素敵だなと思いました。私も、素敵なお心遣いとカッコいい接客を目指して奮闘中です!
素敵なおもてなしがあるんですね。サークル活動はやっていますか?
リタジー(典礼)サークルに所属しています。キリスト教系の中高で聖書に触れたことがきっかけで興味を持ち、大学に入ってからもキリスト教に携わりたいと思ったんです。聖堂で学生ミサとして共同祈願をしたり、クリスマスの時期には大学でクリスマスマーケットを開催し、メダイやロザリオの販売をしたり、パジェントという劇をやったりしました。
私は信者ではないのですが、他者を大切にするという教えにはとても共感しています。自分が忙しかったり大変だったりすると周りが見えなくなるときもあると思いますが、そういうときこそこの教えを大切にしています。
ちなみに学校ではどんな勉強をしているんですか?
史学科の世界史コースに所属し、イスラム史とアメリカ史について、ゼミを掛け持ちして学んでいます。
イスラム史については、王朝によって色が異なることや、イランだったら悪魔のような美しさと言われる王様や遊牧民の話などが面白くて、まだ日本語に翻訳されていない資料もあったりと未知数な点に惹かれます。
アメリカ史は、小学生の頃からアメリカのドラマや映画、ジャズの文化などが好きだったのと、中高の教科書にはあまり出てこなかったので、学問的に捉えてみたいと思って選択しました。コメディからジェンダーをみるということや、アメリカの海賊についてなどの勉強で、今の文化背景にある歴史を知れることが面白いなと思います。
また、アメリカ史の授業では、ジェンダーや人種、大統領選挙など、普段過ごしている中で耳にすることを学ぶことが多いです。過去から学ぶだけでなく、現代にも繋がりが深いところが、勉強していて楽しいなと感じています。
2つのゼミを掛け持ちしているんですね!より学びを深めたい内容はありますか?
まだ決めかねているのですが、卒論はアメリカ史で書こうかなと考えています!以前、服飾の講義でファーストレディからアメリカ史を学んだことがあったんです。ファーストレディの服装によって大統領の人柄を分析することが印象的で、服飾についてもっと勉強してみたいと思うようになりました。今は大学院への進学を考えています。
本当に勉強熱心なんですね!
高校生の頃、『アナザースカイ』で社会学者の古市憲寿さんが、ノルウェーに留学で行き、その後大学院で勉強したということをすごく楽しそうに話していたのを見て影響を受けました。理系の勉強のように勉強したことが直接将来に活かせるかは分からないけど、自信を持って好きだと言えることがあればいいなと思い、興味のある分野の学びを深めたいと思ったんです。
大学や大学院を卒業しても勉強を終わらせるのではなく、マイペースにずっと学び続けていけたらいいなと思っています。おばあちゃんになっても自分がやりたいことをやっていく人生にしたいです!
美学生プロフィールProfile
担当カメラマン・インタビュアーCameraman & Interviewer

