美学生インタビューInterview
自分が生きていない時代の物が逆に新しく感じたんです
SNSのプロフィールに「ネオ昭和」と書いていますが、これは?
「ネオ」はギリシャ語で「新しい」の意味。私、平成生まれなんですけど昭和がめっちゃ好きで、高校3年生の頃からSNSでファッションや音楽、家電など昭和の文化を発信してるんです。平成生まれの私の観点で発信することで、昭和っていいやん!新しいやん!ってみんなに感じてもらえたらなと思って。
伝え方が悪いと古臭く見られてしまうので、ちょっと“今”の流行りも取り入れつつ、例えば今どきの化粧をしながら昭和の服を着るとか、髪はパーマじゃなくてストレートにするとか、全部を昭和にせずに“新しい昭和”を自分なりに発信しています。
そもそも昭和を好きになったきっかけは?
20歳ながらレコード歴はもう6年になります pic.twitter.com/bX63cQHtN3
— 阪田マリン (@marin_syowasuki) August 17, 2020
中学2年生の頃におばあちゃんの家にレコードプレイヤーがあって、まだ使えるから一回聴いてみよってなったんです。曲は久保田早紀さんの『異邦人』。針を落とすと「プチプチ……」って音と共に深みのある音楽が流れてきて、一瞬で心惹かれました。それからどんどんハマっていきましたね。
レコードって中古だと1枚100円くらいなんですよ。だから中学生でも何十枚も買える。それにジャケットがでかいのも満足感があって好きです。今は家に200枚くらいレコードがあります!昭和初期の演歌も好きだし、聖子ちゃんとか80年代の曲も好きです。
昭和の歌手で一番好きなのは誰ですか?
憧れてるのは山口百恵さんなんですけど、好きなのはやっぱり中森明菜さんかな。
大学の実習で中森明菜
「少女A」熱唱しましたw pic.twitter.com/MXWbFw57BT— 阪田マリン (@marin_syowasuki) November 18, 2019
彼女は曲によって雰囲気がガラッと変わるんですよ。ラブリーな曲のときは本当に可愛らしい感じだし、カッコいい曲のときは強い女風。歌手っていうより女優みたいなんですよね。見てて飽きないです。
音楽から昭和にハマって、そこから他の文化にも興味を持ち始めたんですよね。
初めは音楽だけだったんですけど、だんだんと昭和のドラマや映画を見るようになったんです。最初に見たのは、浅野温子さん主演の『スローなブギにしてくれ』(1981年公開)。
その作品には当時の服や車、家の様子が映し出されていて、それを見た時、どこか懐かしい感覚になって、同時に「新しい」って感じたんです。自分が生きていなかった時代の物っていうのが逆に新しいなって。バブルスーツもポケベルも、それが古臭いとかダサいとはまったく思わなかったです。
それから昭和のグッズを集めるようになりました。ラジカセ、カセットテープ、黒電話、時計、あとは昔のタバコ屋さんの看板とかをリサイクルショップやメルカリで買って部屋に飾ったり、昭和の雑誌を買って当時の流行を勉強したりもしましたね。
喫茶店で運命の出逢い
本当に昭和にどハマリしてしまったんですね。
あ、あともう一つ昭和の魅力にのめり込んでいったきっかけがあるんです。
実は高校1年生の時に付き合ってた1つ年上の彼氏がめっちゃ昭和好きで、その人がいたからこそ今の私がいると言ってもいいかも知れません。
昭和好きがきっかけで知り合ったんですか?
いや、それがちょっと運命的な出逢いで……(笑)
大阪の通天閣のすぐそばに「喫茶ドレミ」っていう昭和レトロな喫茶店があるんですけど、そこで友達とお茶をしてたらダブルスーツを着た男の人がお店に入ってきて隣に座ったんですよ。
それで「昭和っぽい服装ですね?」って声をかけてみたら、「車が昭和やからそれに合わせてダブルスーツ着てるねん。」って。彼が乗ってた車はトヨタのソアラっていう昔流行ってた旧車。同世代でまさかそんな車に乗ってる人がいるなんて思わなかったからビックリしました!
すっかり意気投合してその日にインスタグラムとLINEを交換して、しばらくして付き合った感じです。
彼は演歌が好きで私にたくさんの曲を教えてくれました。ドライブしながら演歌を聴いたり、彼が家にコレクションしてる8センチCDをもらって聴いたりもしてましたね。今思えばその時、めっちゃ幸せでした!趣味が同じ人と付き合えるっていうのは本当に楽しかったです。
今付き合ってる彼氏さんも昭和好きなんですか?
まぁまぁです(笑)合わせようと頑張ってくれてます。
私、デートするときは彼氏にも昭和の服を着てほしいんですよ。今の彼も最初は嫌がってたんですけど、着てくれるようになりました(笑)ドライブするときは昭和の曲も流してくれてノリノリでデートしてます!
昭和を好きになってくれる人が増えると嬉しいです
自分の好きなことを貫けるってすごいなと思います。周りとのギャップに悩んだことはありませんか?
— 阪田マリン (@marin_syowasuki) June 10, 2020
「変わってる」とか「普通じゃない」って言う人もいるけど、「昭和、いいよね!」って言ってくれる人もいるから気にしないです。
高校生の時に通学カバンに『ビー・バップ・ハイスクール』のステッカーを貼ってたあら、「何あれ。あの子、変わってるくない?」って同じ高校の子たちが噂する声が聞こえてきたんですよ。でも、だからって自分のやりたいことをやめるっていうのは絶対に嫌だったので貫いてました。
ビーバップ久しぶりに見たら高校戻りたくなった笑 pic.twitter.com/DqrL5ADQLk
— 阪田マリン (@marin_syowasuki) September 20, 2020
そのあと大学生になって私がSNSでフォロワーが多くなってきた頃に、その時の子から「最近すごない?昭和っていいよな。」ってDMが来ました。「今更かよ!」って思いましたね(笑)
貫き続けることで認められるようになっていったんですね。
最近では「私もそういう服着てみたい!」って言ってくれる友達もいて、服を貸してあげたりもしてます。自分の影響で昭和を好きになってくれる人が増えるのは本当に嬉しいですね。
あと、昭和世代の方からも「まさしく当時の格好だ!」とか「僕たちの青春時代が現代に蘇った!」って反響をいただくこともあって、そういう声もすごく励みになります。
今後の目標はありますか?
「ネオ昭和」ってワードを流行らせたい!そのためにもっと積極的に発信していきたいです。レコード紹介とか、昭和の音楽を踊ってみたシリーズとか。YouTubeもチャンネル開設して三日坊主で止まってるんですけど、頑張って動画作っていきたいです。
あと、自主制作で昭和のトレンディドラマを撮りたいなと思ってるんです。私の通ってる大阪芸術大学には色々な学科があってドラマや映画を撮る機材設備も整ってるので、大学在学中に自分の大好きな昭和の文化が詰まった作品を一つ作るのが目標です!
美学生プロフィールProfile
担当カメラマン・インタビュアーCameraman & Interviewer
井上 翔也
僕も昔から美学生図鑑の読者でした!美学生図鑑は1日1度見に来るだけで癒される、そんな場所です。美学生たちの煌めいた一瞬を皆様にお届けすることが出来るよう頑張ります!
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