美学生インタビューInterview
湖の白鳥のよう? フラダンスは下半身が大事
フラダンスサークルに所属しているそうですね。どうして始めようと思ったんですか?
『フラガール』っていう日本アカデミー賞を受賞した映画に憧れてたんです。
ラストで主演の蒼井優さんが今までの苦悩を乗り越えて踊りを披露するシーンがあって、そこに感動しました。笑顔で踊ってる蒼井優さんや周りの人々の歓声を見てると漠然ですがフラダンスっていいなって憧れがあって、大学に入ってから始めました。
やってみてどうでしたか?
人数は3学年合わせると100人を超えるくらいで結構大規模なんですけど、経験者もそうじゃない子もみんなフラが大好きなんですよ。チームで踊るのでお互い切磋琢磨しながら一つの作品を作り上げていくっていう感じで、すごく達成感があって楽しいですね。
フラダンスって手をひらひらさせて踊るイメージがあるんですけど、実際にはどう踊るんですか?
いくつか基本的な部分はあるんですけど曲によって動きも変わります。『波』だったら手で波を作ったり『花』だったら花を作ったり、歌詞によって色々と表すものが変わってきますね。
それこそ常夏のハワイの楽しさみたいなのを表現したテンポの速い曲もあるんですけど、そういう曲でも腰を入れて、動きのしなやかさを忘れずに踊るのが重要なんです。
ポイントはしなやかさなんですね。
そうですね。自分と先輩を比べて全然違うなって思うのは、動きが途切れないんですよ。手や腰の動きが一つひとつぶつ切りになってしまうとダメで、先輩方は流れるようにしなやかなんです。
あとは例えば家族の温かさ、故郷の大切さみたいなのを表す曲の場合なら表情も温かい笑顔をするよう意識してます。楽しい曲なら笑顔は笑顔でも、はじける笑顔というか思いっきり笑ってみたり。曲の世界観は大事にしてますね。
練習はどんなことをするんですか?
スカートの中で見えないんですけどフラダンスってずっと足を曲げてるんです。そのためにまずは足の筋肉を付ける必要があって、最初はスクワットとか基礎的な筋トレからやります。優雅に見えて実は見えないところで足がすごく耐久してるんですよ(笑)
どうして曲げないといけないんですか?
フラダンスってお尻をフリフリしてるんじゃなくて、足を曲げて、伸ばして、曲げて、伸ばしてっていう動作で腰が動いてるように見えるんです。どれだけ足を曲げ伸ばしできるかでダンスの抑揚とかダイナミックさも変わってきます。
白鳥みたいな感じですね。湖で優雅に泳いでるけど実はめっちゃ足をバタバタしてるって感じで(笑)
憧れの地 スパリゾートハワイアンズへ
初めて人前で躍ったときはどうでした?
私の代は7月に同志社大学の継志館で開かれた七夕コンサートで初めて1年生全員で披露しました。一般の人が50人くらい来てくださったのもあって、すごく楽しかったですね。
私自身は中学高校で吹奏楽や軽音楽をやってたので人前で何かを披露することには慣れてたんですけど、またそれとは違った緊張感がありました。
何度か舞台に立つ機会はあったと思いますが、一番心に残ってるのは?
フラガールの舞台になった福島県の『スパリゾートハワイアンズ』っていうところがあって、今年の2月にそのステージで踊ったんですよ。それがすごく心に残ってますね。
『全国学生フラフェスティバル』って言うんですけど、各地から色々な大学のフラ団体が集まるイベントです。順位を競うわけじゃないので大会というより交流会のような感じなんですけど本当に貴重な経験でした。
憧れって言ってましたよね。そんな場所で躍れるのは格別な気分だったんじゃないですか?
最高でしたね~。ここで蒼井優さん踊ったんだ!っていうのもありますし、私たちが踊る前日にスパリゾートハワイアンズで踊ってるプロのフラダンサーさんたちのステージを見ることができたんですよ。それが本当に素晴らしくて。迫力だったり、表情の見せ方だったり、ステージ自体も生演奏やプロジェクションマッピングで色々な演出があったり、すべてが圧巻で本当にかっこよかったです。
自分たちがいよいよその舞台に立つというときはどんな気持ちでした?
いよいよ来たか~ってドキドキしましたね。それに憧れの舞台に立てるんだっていうワクワク感でいっぱいでした。
普段は週1回集まって練習するんですけど、この時はまた別日にも集まって踊ってたんです。いつも以上に練習してたので、みんなにとってもこのフラフェス、スパリゾートハワイアンズにかける想いっていうのは普段と違ってました。
私の大学の出番は2曲だったのでステージに立っている時間はあっという間だったんですけど、今まで積み重ねてきたものが今ここで形になってるなって思ってすごく感動しました。
それは良い経験ができましたね。
すっごく良い経験でした。フラガールの聖地だと思うんですね、スパリゾートハワイアンズって。そこで踊れたっていうのはホントにホントに嬉しかったです。
では、あらためてフラダンスの一番の魅力って何ですか?
微細な表現ができるところと、チームで一体感を作り上げるところ、ですね。色々と考えられてるというか、ホントに動きも洗練して練られてるものばかりなんです。少しでも腰の動くタイミングが違うと、全く別の踊りをしてるように見えるので、やっぱりチームの中で一体感を持ってやることができるかは大事だと思います。そこが楽しいところでもありますね。
今までに20回くらい“花嫁”になりました
話は変わりますが、色々な種類のアルバイトをやってるそうですね?
そうなんですよ。イタリアンバルの店員と、色々なイベントでお仕事をするコンパニオン、それと模擬挙式のウエディングモデルをしています。
模擬挙式ですか?
ヒルトンプラザ大阪っていうホテルの中に、『チャペル・ド・コフレ』っていうチャペルがあるんですけど、そこで毎週土日祝に1日3回ほど模擬の結婚式をやっていて。式を挙げようと考えてる新郎新婦の方に、実際にこういう風にバージンロードを歩くんですよっていうのを実演するお仕事なんです。
毎週出演するわけじゃないんですけど、1年生の終わり頃に始めて今までに20回くらい“花嫁”になりました。
ウエディングドレスはどんなのを着るんですか?
毎回、当日のお楽しみなんです。ウエディングドレスって言ってもスラっとしたシルエットの『Aライン』とか、腰から裾にかけて大きく広がる『プリンセスライン』とか、いろんなのがあるんです。色も純白のがあったりアイボリーがあったり、小物も全然違ってたりしてすごく楽しいんですよ。
全く見たことのないドレスだったら、おお~なんじゃこりゃ~みたいな驚きもあったりします。だから、花嫁さんはたぶんすごく悩まれると思います。
実際にウエディングモデルをやってみて、どういうときにやりがいを感じますか?
バージンロードを歩いてるときに演出があるんですけど、チャペルの真ん中に大きなシャンデリアがあって、そこに花嫁が近づくと一気に点灯するんです。それが本当に綺麗で、それを見てた新郎新婦の方々が「うわぁ~あんなの良いな~」って笑顔で話してるのを見てると、幸せを分けていただいてる気がして、いつもすごく嬉しいですね。
でも、自分が結婚式でドレスを着るときの喜びを先に経験してる感じですよね?
そのウエディングドレス姿を毎回写真に撮るんですけど、撮ったら家族に見せるじゃないですか。この前お父さんに「きょうこんなドレスやってん~」って見せたら「娘の晴れ着、見慣れたわ」って言われたんです(笑)
基本的には一生に一度ですもんね。
「きょうも綺麗だよ」って。まあ、そうなるわな……、いつも見てるもんな……って。
でも「私が結婚したらそのときは絶対に感動すんねんで!」って言ったら「ひな人形、遅くまで出しとくわ~!」って言ってました(笑)
ウエディングとかコンパニオンとか色々なバイトを掛け持ちしてるのはなぜなんですか?大変じゃないですか?
今は学生なので自分が少しでも興味があったり、やりたいと思うことは何でも挑戦したいなって思いがあります。こういう風に色々と自由にできるのって今のうちだけだと思うので、食わず嫌いではなく、たくさんのことに飛び込んで全力で挑戦したいなって思ってます。