美学生インタビューInterview
“のだめ”の千秋先輩に憧れて音楽学部へ!?
神戸女学院大学の音楽学部に進学した理由は?
私が師事したいと思うピアノの先生がこの大学にいらっしゃったからです。国際的なコンクールでも優勝するなど世界でも活躍されていて、多くのピアニストが尊敬する素晴らしい方なんです。
その先生にはいつから教えてもらっているんですか?
高校2年生から習っています。実家は福岡なんですが、2週間に1回のペースで神戸へ通っていましたね。
朝7時に起きて8時発くらいの新幹線に乗って昼前くらいから2時間ほどレッスンを受けて、日帰りで福岡に帰っていました。
どんな曲が好きですか?
クラシックですね。普段、色々な音楽を聴きますが結局クラシックにおさまるんです。
音がキラキラしているように感じるので特にモーツァルトが好きです。それに“のだめ”の世界なので。
実は私、『のだめカンタービレ』が大好きでその影響で音楽の道に行きたいって思ったんです。主人公ののだめがモーツァルトを弾いてる時の姿がすごく印象的ですね。
のだめの好きなキャラクターやお気に入りのシーンは?
「千秋」っていう男性のエリート音大生キャラがすこく好きで、音大に行ったらこんな素敵な人がいるのかなぁって思っていました。結局、進学したのは女子大だったんですけど(笑)
ストーリーだったら、泥酔した千秋先輩がのだめに拾われてピアノの音で目覚めるところから始まるんですがそのシーンがすごく印象的ですね。
ステージの上で感じる快感!客席から注目が集まるのが嬉しい
ピアノを始めたのはいつ頃ですか?
3歳くらいですね。幼稚園に通っていた頃から母が色々な習い事をさせてくれていて、ピアノ以外にも絵、そろばん、水泳、テニス、体操を習ってましたが、唯一ちゃんと続いたのがピアノでした。
上手く弾けたら先生が褒めてくれて嬉しかったのを覚えています。
音楽は自分も感動できるし人を喜ばせることもできるので幼いながらそういうところにやりがいを感じたんだと思います。
人前に立って演奏するときはどんな気持ちですか?
母もピアノをやっていて私が4歳の時に一緒に発表会に出たのが初の舞台でした。
私自身、結構“出たがり”なので人前に出て何かをするというのが嬉しくて。どんな曲を演奏したかは覚えてませんがすごく楽しかった記憶があります。
それから何度も舞台に立ちましたが一番感じるのは“高揚感”。見られていることに対する快感ですね。
みんなが私の音楽を聴いてくれて、会場すべての注目が集まっているというのがすごく嬉しかったりします。
普段の練習で心がけていることは?
これまでに自分が見てきたものに結び付けて、“この音楽はこういう感じがする”と考えながら弾いてます。
例えば綺麗な絵を見て綺麗と感じるだけでなく、それ以上に何を感じるか。音楽の分野ではアナリーゼ=楽曲分析というんですが、その音楽が持つ魅力やメッセージをきちんと読み取る必要があります。
これを磨くためには色々なものに触れて自分の視野を広げることが一番大事なんじゃないかなと思っています。
視野を広げるためにやっていることは?
私の場合、海外に行くことですかね。自分が住んでいる日本とは全然違うものを見て新しいことを吸収します。
最近、一番心に残ったのはパリのオランジュリー美術館でモネの『睡蓮』という絵を見たことです。白い楕円形の部屋の壁が一面、見渡す限り絵になってるんですが、その迫力と絵の美しさにすごく惹かれました。
そういったのを潜在的に覚えていて、例えばモネと同じフランス人の作品、ドビュッシーやラヴェルの曲を弾くときに『睡蓮』のふわっとした筆遣いとマッチする音があったりすると“あの絵の感じだな”って思うんです。
特に音楽と絵は歴史もリンクするので旅先ではよく見に行きますね。
ピアノを始めて20年近くになりますよね。長く続けられる理由はありますか?
小学生の頃から本番が近付いてもお尻を叩かれないとピアノに向かわない練習嫌いな性格でした(笑)
自分の持っているキャパシティよりも大きなものにチャレンジしたとき、実力不足というか“足りてない”と焦りや辛さを感じることもあります。
ですが、弾けたときの「できた!」って感覚は忘れられないものがあるんです。自分が何かをやり遂げたという達成感、満足感が得られるからこんなにもずっと続けてこれたんだろうなって思いますね。
これまでの経験を生かして今後は新たな道へ
将来は音楽の道へ?
実は大学卒業を区切りに一旦ピアノから離れるつもりです。今まで一生懸命やってきましたが、“音楽で生きていく”と決めた人たちと比べると私の気持ちは全然足りてないなって。
上手いだけじゃダメで、そういう人たちの音楽に対する情熱は計り知れない。真剣だし覚悟もあるし自分とは違うなって思わされる場面が何度もありました。
後悔はないんですか?
正直ちょっと前まではあったんですけど今はひと段落したいって気持ちが強くなってます。だから今なのかなって。
これまで充分過ぎるほどやってきたし他のことにも挑戦してみたい、もっと自分の可能性を探ってみたいと思うんです。
ただ、私にとって音楽は一番の癒しだし絶対になきゃダメなものなので、どんな形かは分かりませんがピアノには触れていくと思います。
他の可能性ってどんなことでしょう?
小さい頃、カナダに住んでいたこともあって英語が得意なんです。だから通訳の仕事はどうかなって考えてます。
特に音楽家の方が来日された際、会話を訳すには専門的な言葉を知らないといけないのでこれまでの音楽の知識も生かせるんじゃないかって。
あとは私の叔母がアナウンサーだったというのもあって子どもの頃からメディアの仕事、特にアナウンサーに憧れがありました。
どこの局で働いてらっしゃった方ですか?
日本テレビです。今はフリーアナウンサーなんですけど、父の妹に当たる人で「大神いずみ」と言います。
バラエティ番組専門という感じでビートたけしさんのお昼の番組、熱湯コマーシャルというコーナーがあった『スーパージョッキー』に出ていました。
今でもたまにお会いすることがあって、相談に乗ってもらうこともあるんです。
音楽の次に挑戦したいのがアナウンサー?
直接、音楽の知識は生かせなくてもこれまで経験してきた本番を落ち着いてこなすことや、人前で何かをするということが生かせる職業だなって思います。
何か出来事が起こっている現場に行って自分の目で色々なものを見たいです。それはアナウンサーという仕事を越えて人生のためにもなると思うんです。