美学生インタビューInterview
したくないことはしない だから就活も……
4回生なのでもうすぐ大学生活も終わりですよね。卒業後はどんな仕事をするんですか?
化粧品販売の仕事をします。ビューティーアドバイザーと言って百貨店とかでお客さんに合う商品を勧めたり、悩みごとを聞いて解決するっていう仕事です。つい最近、去年の11月くらいに決まりました。
ちょっと遅くないですか?
遅いですね。春学期は何もしてなかったので。
え? 何もしてないって……。
2回ほど説明会に行ったくらいで、何も受けてもなければ、何も出してないです。
えええっ、普通みんな4回生の始めには就活スタートしますよね?
そうですね。でも、後でいいかなって。
後 で い い か な ?
あんまり会社に入って働くっていうことに興味がないんです。私、フリーモデルとして活動してて、そっちの方が楽しいので続けたいんですけど、やっぱり安定した収入源がないと生きていけないので、それで働くか、みたいな。
そりゃ働かなくていいならみんなそうしたいと思いますけど……。
早い人は2回生から自己分析をしたり、3回生はめっちゃインターンに行ってましたね。
でも私、昔から「周りがやってるからやらないといけない」とは思わないタイプで、したいことはするけど、したくないことはしないんです。それに先輩には、卒業式の前日に就職先が決まった人とか、就活をやってなければ卒論も書いてないって人もいっぱいいて、それを見てたらそんなに焦らんでも最終的には何とかなるなって(笑)
……。でも一応、就活はやったんですよね? いつ頃から始めたんですか?
夏休みくらいにそろそろ始めよかな~ってなって。業界は絞らずに年間の休日数だけ見て探しました(笑)ITとか不動産とかいろんな説明会へ行ったんですよ。でも、面接で「なぜこの業界に?」って聞かれると、理由ないな~、みたいな(笑)
ダメじゃないですか(笑)
でも、化粧品会社だけは違って。そのときは会社に入ってやりたいこととか、話せることがすごく多くて楽しく喋れたんです。ずっと化粧が好きだったんで、ここが向いてるんだって気付きました。
私、基本的には人には流されないんですけど、人に喜んでもらうのは好きで。友達にも化粧品は何を使ってるとか、どういう風にしたらいいとか、色々と聞かれることがあって、それでアドバイスをするとめっちゃ喜んでもらえたことが結構あったんです。
就活する中で自分のことに気付いたんですね。
その時までは当たり前と思ってやってたんですけど、仕事に繋がることあったわって気付いて。最終的にはちゃんと就活やって良かったなって思いました。
私を私のまま受け入れて
卒業後も被写体を続けるんですよね。モデルの活動が好きなんですね。
実はもともと写真を撮ってもらうのあんまり好きじゃなかったんですよ。よくいるような顔やから自分の顔が好きってわけでもないし、写真写りは悪い方やからむしろ嫌いやったくらいで。「こうなりたい」っていう理想の顔ばっかり考えてるコンプレックスいっぱいな時期もありました。
でも、撮ってもらうとカメラマンさんたちに喜んでもらえて。人の写真でも、モデルの見た目に関係なく人の感性に働きかける作品っていうのはあって、そういうのを見てたら写真いいなって思うようになったんです。それで写真の良さって被写体の顔じゃないんだなって思い始めました。
そもそもモデルを始めるきっかけって何だったんですか?
きっかけはサロンモデルですね。もう5年くらい前かな。美容室で声掛けてもらって。写真撮ってもらってそれをインスタに載せたら結構な反響があったんです。それで他の美容師さんやポートレートのカメラマンさんからも撮ってみませんか?って言われて。その度にSNSにアップしてたら仕事の依頼が増えていったって感じです。
モデルといっても色々ありますが、今までにどんな仕事をしましたか?
通販サイトやフィットネスジムの広告、さっき言ったサロンモデル、ポートレートの被写体、そんな感じです。露出系じゃなかったら基本なんでも受けるんで。
何が一番楽しかったですか?
一番は特にないんですよ。全部楽しくて、全部違う良さがあります。
でも、一番周りの反響が良かったのは『京都デニム』の仕事。通販サイトに私、割といっぱい載ってるんですよ。デニムを京友禅で染めてあってすごく可愛いし、結構いいお値段で普段は着られない物なので楽しかったですね。
私自身のことを褒めてもらうのも嬉しいんですけど、カメラマンさんとかが喜んでくれる方が嬉しくて、私のポートレートを撮ったことで反響があって、写真の仕事が増えましたっていう話を聞くとめちゃくちゃ喜びます。
人の役に立つとやりがいを感じますよね。では、自分の中でモデルの仕事ってどんな位置付けですか?
私は自分のことちゃんとしたモデルとは思ってないんですけど、フリーとして一人でやってるからギャラの交渉とかも全部自分でやるんですよね。自分より全然年上の方と値段の交渉をするってなかなか無い経験じゃないですか。条件が合わんこともいっぱいあるし、そこでどう折り合い付けるか話をしないといけない。
それで色々な人と物怖じせずに喋れるようになりました。だから、モデル活動は自分自身の成長の場だと思ってます。
ではこの先、こういう被写体になりたいなって思い描く姿はありますか?
どうなりたいかはまだ探してる途中ですけど、日本って割と“こうじゃないといけないって”っていう考えが強いじゃないですか。でも、そこから外れても私を私のまま受け入れてもらいたい、そう思うんです。
だから基本、人の言うことは聞かないです(笑)あ、でもちゃんと話は聞きます。頭の中にストックとして置いとけるので話は聞くけども、言われたからそのまま従うっていうのは絶対ないです。押し付けられるのが嫌で、何でも最終的には自分で決めます。
イジメを受けた過去 “みんな仲良く”という考えを変えたい
気が強いというか、自分を持っているというか。
でも、そのせいか小中学校では結構イジメられてたんです。無視されたり、靴がなくなったり、中学との時はヤンキーみたいな人たちに「調子乗ってる!?」って絡まれたり。あと、毎日毎日校門の前に集まって私が見えなくなるまで「死ね!!」って叫ばれるみたいな。
それはキツいですね……。
団体行動とか人に合わせるのがあんま得意じゃなくて、“みんなで一緒”がすっごい苦手なんですよ。自分が良いと思わんかったらやりたくないっていうのは昔からあって。
あと、誰かに何か言われても普通に言い返しちゃう。「スカート短くない?」って因縁を付けられた時も「なんですか?」って返してました。ケンカ売ってるわけじゃないですけど、そういう反応が気に障ったんですかね?
しんどくなかったですか?
その時はしんどかったです。でも、“言われたから来ない”って思われる方が腹立つし。だから、向こうは余計ムカつくかもしれへんけど、何言われても全部ガン無視してました。
私、小学校の時に空手やってて、寸止めじゃなくて普通に殴られたりするので、試合で年上の黒帯の子と当たるより全然怖くなかったです。
強いですね。普通なら学校に行くのが嫌になります。
子どもは学校が全てに思えちゃうから苦しくなるんですよね。私は親から「学校が全てじゃないから行きたくなかったら行かなくていいよ。」って言われてたので。
逃げ道を作ってくれてたんですね。
みんな苦手な人との付き合い方が下手なんだと思うんです。そういうの学校ではあんまり教えないじゃないですか。今の日本の教育やと“みんなで仲良くするのが正義”みたいな。
でも、絶対に全員と仲良くできるわけなくて、苦手な人とか、どうしても合わない人って絶対いる。上手いこと関わらないのが一番大事だと思うんです。
関係を悪化させる前に距離を保つってことですか。
無視するとかじゃなくて遠くから挨拶だけするとか、合わんなって思った瞬間から上手いこと離れることを考える。本当は学校教育から変えてほしいんですけど、私のフォロワーには中高生とか同じ大学生が多いのでネット配信とかでよくそういう話をしてます。
お悩み相談のメッセージが来るってことですか?
そうですね。「仲悪くなっちゃった人がいて学校行くのが怖いです。」とか。結構ある話じゃないですか。私ならこうするよって答えてたら「しんどかったけど行くの嫌じゃなくなった。」「もうちょっと頑張ろうと思う。」って言われるようになって。
リアルの友達の相談に乗ることも多かったんですけど、全然知らない人にでも私の考えを伝えることで役に立つこともあるんだなって。
みんな色々と悩みがあるんですね。
だから実は、本を書きたいと思ってます。人間関係とか心理学とか、昔から読むのが好きで、めっちゃ悩んだときもそういう本を読んで私は今こういう心理なんやって気が付いて楽になることが結構あったんです。なので私も私の考えを書いて、色々な人に伝えれたらいいな、みたいな。
最初の就活の話はビックリしましたが色々と考えを聞けて面白かったです。では、この記事を見てくれてる学生たちに何かメッセージをお願いできますか?
繰り返しになりますが、私はやりたいことはやったらいいし、やりたくないことは辞めたらいいよって思ってるんです。言われたようにとか、周りがやってるようにってのもいいけど、それで自分が納得できなかったらもう少し違うことを見つけるために、色々な経験した方がいいかなって思います。