2012.09.19

京都 原口 真穂 @京都精華大学

逢香奈良教育大学1回生

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リボン

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美学生インタビューInterview

『見えないところで活躍しているものが、私には綺麗でお洒落なものに見えたんです。』

  • 1.最初に自己紹介をお願いします。

    原口真穂と申します。京都精華大学のデザイン学部、ライフクリエーションコースの2回生です。このコースで室内のインテリアや雑貨のデザインを勉強しています。あとちょっと珍しいものを材料にして趣味でアクセサリー作りをしていますね。

  • 2.インテリアやデザインの授業とはどんなことをしているんですか?

    今は「現代の居住空間に合う雰囲気」をテーマに襖絵のデザインをしたり、CADという製図ソフトを使って図面を書いたりしています。あとは雑貨や小物に使う素材を研究し、どんな性質を持ったものがあるかを調べているところです。
    この研究は自分たちが選んだ素材と他の何かを組み合わせて新しい可能性を創り出すための授業で、私はスポンジを使って「災害」をテーマにした照明を作っています。災害の中でどういう風にスポンジを生かすかを考えた時、普通は被害を防ぐためにスポンジで何かを作ろうとすると思うんですが、「守る」のではなく「癒す」ことを目的にしたら面白いものができるんじゃないかと考えたんです。被害にあって不安になった時に、その照明を触ることで少しでも落ち着きを取り戻し、心を鎮められるものが作れないかを研究しています。

  • 3.どうしてスポンジを研究の題材に選んだんですか?

    スポンジと聞くと台所で洗い物に使うアレを思い浮かべると思いますが、スポンジという言葉には「気泡がたくさん連なった構造」という意味もあります。なので柔らかく手触りが良いだけではなく、耐熱性や防毒性が高いものがあったりと性能も様々で、まだまだ可能性を秘めている素材だと感じました。それに子供がいる家庭でガラス製の照明は倒れたりして壊れやすく、床などを傷つける危険もあるので素材を柔らかいものに変えることで、安全性の向上と、見た目にも温かみを生むことができるのではと思ったんです。
    ちなみに私が一番好きなスポンジは「セルロース」という植物の繊維から作るものなんですが、化学繊維を混ぜていないものは生き物が食べても大丈夫なんです。さらにこれを水に浸した後、干して乾燥させるとすごく丈夫になり、拳銃でも貫けるかわからない程の硬さになります。スポンジは現代科学が発展した中で、すごくたくさんの種類があり、色んな機能を備えて見えないところで活躍しているところが心にきました。

  • 4.照明という形を選んだのはどうしてですか?

    停電で光がないところでも、懐中電灯などの照明があればその人がどこにいるのか一目で分かりますよね。照明は人間の生活の中に深く関わっていて、暗闇でもポッと光がつくだけで心が落ち着いたりするじゃないですか。でも照明を今の形のまま、ずっと置いておくのは面白くないと思うんです。部屋にちょっと装飾を入れる感じで隅っこにポツンと置いてあったりするんですが、これをもっと親しみやすく、もっと人と関われるような感じにデザインしたいなって思ったので新しい照明の考えることにしました。

  • 5.デザインとの出会いはいつですか?

    初めてデザインにハマったきっかけは絵本でした。子供の頃、よく両親に本を読んでもらっていたんですけど、その時に同じシンデレラの話でも本によって絵が違うということに気付いたんです。この人は外国人みたい、この人は日本人にいている、と絵の違いを見ていくうちに段々と本そのものにも関心が湧いてきて、最初はレイアウトに興味を持ちました。そこからデザインというものを知り、やってみたいという気持ちを持ち始めたんです。

  • 6.家具に興味を持ったきっかけは?

    小学生の時、おばあちゃんの家が引っ越すので家具を新調することになり、家具屋を一日中歩き回らされたことがあったんです。そこでたくさんの種類の家具を見て興味を持つようになりました。
    もう一つきっかけがあって小学6年生の時にデザイナー家具を見たことなんです。それまでイスや机というのは四角であったり丸であったり、足が四本付いていて当たり前だと思っていました。でも沖縄に遊びに行ったときに国際通りにお洒落なデザイン家具のお店がありまして、そこにインテリアデザイナーの倉俣史朗さんが作った「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」という名前のイスが非売品で展示されてたんです。このイスは全体が金網のような素材で作られている一人掛けのもので、それがスポットライトでバッと照らされてるのを見た時にものすごい衝撃を受けました。イスと言うと今まで木や皮だったのにそれを金網で作るという発想に感銘を受けて、そこからデザイナー家具に目覚めましたね。

  • 7.一番最初に言っていた「ちょっと珍しいもので作ったアクセサリー」とは?

    今ちょうど私が耳に付けているイヤリングがそうなんですが、これ何か分かりますか? 正解はパソコンの電子部品です。
    これは電子機器を制御する「ディップスイッチ」と呼ばれるもので、他にも4色のラインが入った「抵抗」や電気を蓄える「コンデンサ」といったPCパーツの一部を使ってアクセサリーを作っています。まだ始めてたばかりで、去年の12月に壊れたハードディスクを分解したことが制作のきっかけでした。大学で製品のデザインを学んでいるのでこういう機械の中を見たら勉強になるんじゃないかと思い、工具を使ってコタツの上でバラして遊んでいたんですが、小さな部品の形や書いてある数字がすごく気になりました。さっき話したスポンジと同じように、見えないところで活躍しているものが私には綺麗でお洒落なものに見えたんです。
    部品はすごく小さなものなんですが、実は工場の人が手作業で作っているものも多くあります。それに一つ一つにきちんとデザインがあり、すごいものなんだと思いました。部品自体はこんなに魅力があるのにケースの中に入っていると見えないので、すごく勿体無いと感じたんです。これを多くの人に知ってもらうには、綺麗な女の人に身に着けてもらうのが効果的だと考え、指輪やイヤリングに加工することを思いついたんです。

  • 8.実際にどこかで展示や販売をしているんですか?

    神戸にある知り合いの店に置かせてもらってますね。店の近くにいくつか大学があるので若い人たちが買ってくれたり、面白いって反応してくれます。でも30代くらいの人になるとちょっと反応が薄いんです。だからそういう年代の人たちにも馴染んでもらえる作品を日々考えていてます。
    PCパーツをジュエリーの代わりするということ自体、とんでもない考え方だと思うんですけど、それをもっとスマートなイメージにしたり、着色をしてハデな色を落ち着いた雰囲気に変えたりして、自然な感じに仕上げたいと考えています。今後はフリーマーケットや大学の文化祭でも売っていって、京都から周りの人に知ってもらいたいですね。

  • 9.将来はどんなことをしたいんですか?

    将来の夢はジュエリーデザイナーになりたいと思っています。先日、デザイナーの川崎和男先生とお会いする機会があって、アクセサリーの話をすると「東京に行かなきゃダメだよ!」って言われました。私自身は繊細なものを作るのではなく、アイデアで勝負していくデザイナーになりたいので、学生の間は常識に囚われず、奇抜なアイデアを出して、それが将来に繋がればいいなって思っています。今はその常識を破ることに必死で、今後はこれをもっと作品に落とし込んでいけばと考えています。

  • 10.美学生図鑑を読んでくれている人たちにメッセージを願いします。

    普段の生活の中で「ここをもっとこうしたら良いのに」と感じることってたくさんあると思うんです。でもそういう気持ちって殆ど忘れてしまったり、「まあいいか」って放ったらかしにしてしまうと思うんですけど、実はすごく大事なことだと思うんです。「どうでもいい」なんて思わず何事でも真剣に考え、実際に変えようと努力できたら世の中はもっと良くなるんじゃないかと思っています。

 

真穂さん、お話ありがとうございました! (写真=加藤愛、文=小林純也)



美学生プロフィールProfile

プロフィールphotos

原口 真穂 京都精華大学 デザイン学部2回生

>お仕事を依頼する
生年月日
1991年5月
趣味・興味
アクセサリー作り、雑貨店巡り 家具屋巡り
好きなタイプの人
自分より物事をたくさん知ってる人
将来の夢
ジュエリーデザイナー

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