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美学生インタビューInterview
合気道との出会い 満足できる瞬間がないからこそ夢中になれる
大学生活の中で一番打ち込んだことは?
合気道です。初めてお稽古をしたのは大学1回生の春に合気道部の体験に行った時でした。
“武道”っていうと力と力がぶつかるのを想像しますが、自分から攻撃したりすることはなく“相手の力を利用する”のが合気道の基本です。相手の力に逆らわずその勢いを利用して投げたい方向に導き、バランスを崩させることで投げます。
普段は型を繰り返したり、呼吸法のお稽古をします。合気道をやっていると身体が“整う”んです。
なんだか難しいですね。
私も最初の感想は「よくわからない」で、今でもなかなか言葉で説明できないんです。でも、楽しくて自分の身体の内側が躍動している、そんな感覚です。
そのまま続けているうちに、気が付けば日常生活の一部となっていました。しばらくお稽古をしていない日が続くとうずうずしてしまいます(笑)
合気道の魅力はどんなところにありますか?
上手に技をかけることが出来た時は楽しくて“心地よい”って感覚になるんですよね。
技は力を使わない分、とても繊細な動きが求められます。ベストな位置、ベストな方向があって、そこがしっくりくると女性の私でも男性を投げることができるんです。
あとは“終わりがない”のが魅力かなって思います。
合気道には「演武会」という、型を披露する機会はありますが、試合や勝敗はありません。
勝負の世界だと“相手に勝てた”っていう感情がありますが、そういった点で合気道は満足できる瞬間がないんです。だから、永遠と続く自分との戦い?というか対話?というか……、終わりのないところが私は好きです。
ディズニーよりも木登り? 身体を動かすことが大好きです!
得意なスポーツはありますか?
小学校の頃は器械体操に打ち込んでいました。最初は床(マット)と鉄棒と跳び箱。選手を目指していたので、上達してくると跳び箱が跳馬になり平均台や段違い平行棒もやりました。
中でも床が得意でしたね。バレエも習っていたので「手先が綺麗」って褒められて、点数も良くて嬉しかったです。
今でもバク転とか前宙とか、ハンドスプリングならできると思います。
選手を目指すとなると練習は厳しかったのでは?
そうですね、先生が厳しくて。みんなで逆立ちして誰かが落ちたら連帯責任でやり直しとか、柔軟の時には大きなムキムキの先生が上にドンって乗っかってきたり。練習中、失敗したのに笑ってしまって、怒られて泣いていたのを覚えています。
でも、負けず嫌いなんですよ、すごく。だからもっともっと上手になりたい、この技ができるようになりたいと思ってチャレンジしていました。
運動全般が得意なんですね。
身体を動かすのが好きなんです。子どもの頃から自然の中で木登りをしたり、川に入ったり、木登りをしたり……。家族がそういう感じで。姉と弟がいるんですけど、昔から自然の豊かな所に行ったら走り回ったりして楽しんでました。
実は私、最近までディズニーランドに行ったことがなくて、「何であんな人の多い所に行くんやろう?それやったら山とか行きたいなぁ~」みたいなことを話していたんですよね。
でも、大学生になって友達と初めて行ってみたら、夢の国も楽しかったです(笑)
他に身体を動かすことはやっていましたか?
高校からはダンスも真剣にやっていました。ストリートジャズを中心にヒップホップも少し。服も「似合ってないで」と言われながらもダボっとしたのを着てうきうきしてましたね。
大学の1、2回生の時がピークで、日によっては朝6時半から合気道のお稽古に行って、学校、バイト、それが終わってからダンス行って終電で帰って、という生活をしていました。
プロを目指してる子たちが通うダンススタジオがあってそのメンバーに憧れてそこで一緒に。ついて行くので必死だったんですけど……。
すごくストイックですね。
でも、頑張りすぎて体壊しちゃって、お医者さんから「これは過労の人がなる病気だよ」って言われました。一生懸命になるとコントロールができなくて。
全部を両立しようとしてたら、ダンスの舞台本番の昼公演と夜公演の間に突然バタって倒れました。その時はロキソニンを飲んで乗り越えたんですけどやっぱり身体が無理だったみたいで……。踊っている最中からあんまり記憶がなくて気付いたら楽屋にいました。
それからは自分の身体ことはもう少しちゃんと考えるようにしています。
“ひとつひとつを大事にする日本の文化”旅館を就職先に選んだ理由
大学卒業後の進路は?
京都の旅館に就職します。京都の三大旅館の一つで、1864年にできた老舗なんです。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の書き出しで始まる『雪国』の川端康成が愛した旅館と言われています。京都へお越しの際はよく泊ってらっしゃったそうです。そこで客室係をします。
具体的にどんな仕事をするんですか?
ホテルと違って「こんにちは」から「さようなら」まで1人の客室係が1人のお客様を担当します。お出迎えをして、お部屋にご案内して、ご飯のご用意をする。観光のことなど聞かれたらお答えして、次の日も朝ご飯の準備をします。
『たすき掛け勤務』といって、朝の7時からお昼までと夕方5時から9時までが勤務時間で、その合間に茶道や華道、掛け軸や器の見方についてお稽古するそうです。お客様にきちんと説明できないといけないので、旅館が支援をしてくれて習いに行けるんですよ。花嫁修行みたいですよね(笑)
接客マニュアルも一切なくて、お客様にどこまでのことをするかは客室係が自分で決めるそうです。マニュアルがあるとその通りにするだけになりますが、その人にとってのベストな接客をするために自分で考えないといけないってことですよね。
どうして旅館の仕事をしようと思ったんですか?
昔からお寺や神社が好きだったんです。気持ちが落ち着くし、着物をまとうと身体にしっくりくるなぁって感覚があって。日本の古くから伝わる文化に興味があったんですよね。
例えば、木の櫛。職人さんがひとつひとつ手作業で作っているものは一見非効率に見えますが、気持ちが宿っているというか人の手が掛かるほど何かが籠ると感じます。そういったものにキュンとくるんです。
磨き上げられた古い木の建物とか庭師さんが毎日お手入れする庭園とか、旅館には“宿っている”ものがいっぱいあって、それを守る人たちがいる。私もその一員になれたら素敵だなって思ったんです。
この先、どういう風に生きていきたいですか?
すごく難しい質問ですけど……特別にこんなことがしたい!っていうよりは日常を丁寧に生きたいですね。
世の中どんどん便利になっているし情報もたくさん。何もかもが早くなってるのでそれに流されないようにしたいなぁって。私自身がのんびりしているので付いて行けないんですけどね(笑)
前にニュージーランドに行った時、インターネットが使えず情報から完全にシャットアウトされてしまったんですが、ぼーっとしていたらふと「日常生活ってそこまで便利じゃなくても大丈夫だし、逆に便利さに踊らされてるんじゃないかな」って思いました。そういうのが実はしんどかったのかなぁって。その解決方法の一つが、たぶん私の中では“日本の文化”なんです。
昔みたいにひとつひとつを大事にする。例えば、今はお洋服も大量生産・大量廃棄でどんどん次のものが出てきますが、着物ならずっと使えるしバラバラにしたら1枚の布になる。
昔は選択肢が少なかったからこそ目の前のことにしっかり目を向けることができて日々を丁寧に生きてこれたんじゃないかなぁって。
だから私も一日一日を大切に生きていけたらいいなって思います。
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